精神医学62巻3号

2020年03月発行

特集 精神医学・医療の未来を拓く人材育成

睡眠医学とてんかん学の人材育成

著者： 千葉茂¹

所属機関： ¹旭川医科大学医学部精神医学講座

ページ範囲：P.297 - P.305

抄録　睡眠医学は，睡眠・覚醒という生理学的意識の障害を診る医学であり，また，てんかん学は発作性に繰り返す病的意識障害を診る医学である。精神科面接で最も重要なポイントは，意識障害に気付くことであるため，精神科医は睡眠医学とてんかん学の視点を常に有していなければならない。本稿では，睡眠医学・てんかん学の精神科臨床における重要性，および，睡眠医学とてんかん学の人材育成の目標と未来について述べる。人材育成については，睡眠医学・てんかん学についての基本領域(スペシャリティ)が最も重要である。このスペシャリティにおいて脳波判読能力を培いながら睡眠医学・てんかん学の確かな臨床経験を積むことが，その後，睡眠医学・てんかん学の応用領域(サブスペシャリティ)を目指そうという動機の形成につながると考えられる。

参考文献

1)千葉茂，本間研一：序文．千葉茂，本間研一編著：サーカディアンリズムと睡眠．新興医学出版社，pp4-5, 2018

2)諏訪望：最新精神医学—精神科臨床の基本(新改訂版)．南江堂，1989

3)千葉茂：てんかん．尾崎紀夫，三村将，水野雅文，村井俊哉編集：標準精神医学第7版．pp483-502，医学書院，2018

4)吉澤門土，田村義之，千葉茂，他：閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して持続陽圧呼吸(CPAP)が奏功した統合失調症の1例．睡眠医療 3：557-562, 2009

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7)千葉茂：てんかんの医療．7 年齢による特殊性．高齢者．日本てんかん学会編集：てんかん白書．てんかん医療・研究のアクションプラン．pp75-78，南江堂，2016

8)千葉茂：非けいれん性てんかん重積．日本てんかん学会編集：てんかん専門医ガイドブック．てんかんにかかわる医師のための基本知識．pp173-175，診断と治療社，2014

9)Tellez-Zenteno JF, Patten SB, Jetté N, et al：Psychiatric comorbidity in epilepsy：A population-based analysis. Epilepsia 48：2336-2344, 2007

10)Chiba S：Abnormal behaviors during sleep from the viewpoint of sleep epileptology：current and future perspectives on diagnosis. Sleep Science and Practice 2020(in press). DOI：10.1186/s41606-019-0041-7

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14)日本精神神経学会：精神科専門医制度．専門研修プログラム整備基準［精神科領域］第3版．　　https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/specialist/seibi_kijyun_20190316.(2020年2月1日閲覧)

15)田村義之，千葉茂：北海道において旭川医科大学病院「睡眠クリニック」が果たしてきた役割と展望．日本精神科病院協会雑誌 35：20-25, 2016