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文献詳細

雑誌文献

精神医学62巻5号

2020年05月発行

文献概要

増大号特集 精神科診療のエビデンス—国内外の重要ガイドライン解説 第2章 統合失調症

EBPツールキット(SAMHSA)

著者: 大島巌1

所属機関: 1日本社会事業大学

ページ範囲:P.532 - P.537

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EBPツールキットのポイント
 ・統合失調症など重い精神障害のある人たちを中心にニーズのあるすべての国民が,必要時にはいつでもEBPを利用できるよう,サービス提供体制・実施体制を整えること,それによってEBPプログラムの実施・普及を進めることが導入の目的である。
 ・サービス提供体制・実施体制を整えるために,まず実践的に有用で皆が共有できるEBPの標準的効果モデルを定式化・標準化する。その上で,そのモデルの実施にかかわるさまざまな立場の関係者(stakeholders)が,各自の立場でEBP実施・普及に関与するのに役立つ実施・普及のツール(用具)を提供している。
 ・対象者は,統合失調症を中心とする重い障害のある人たちである(他領域のEBPの実施・普及にも同様のツールキットは必須)。EBPツールキットの提供を受けるのは,EBPにかかわるさまざまな立場の関係者である。具体的にはプログラム実践家,実施機関の管理者,行政関係者・プログラム出資者,プログラム利用者・家族などが対象となる3)
 ・プログラム実践家への効果を明らかにしたランダム化比較試験(RCT)の効果評価研究は行われているが4),エビデンスの蓄積は十分ではない。サービス提供体制・実施体制を整えることが狙いとなるため,連邦政府が提供するツールキットの信頼性は高く,そのために活用も促進される。

参考文献

1)日本精神障害者リハビリテーション学会:EBP実施・普及ツールキット. http://japr.jp/wp/ebp/(2020年2月20日閲覧)
2)地域精神保健福祉機構(コンボ):EBPツールキット. https://www.comhbo.net/?s=EBP/(2020年2月20日閲覧)
3)大島巌:心理教育の実施普及に向けて—EBPツールキットとサービス普及研究の可能性.臨床精神医学 39:743-750, 2010
4)大島巌,伊藤順一郎,福井里江,他:統合失調症を持つ人たちを対象にした科学的根拠に基づく心理社会的介入プログラム普及促進のためのツールキット開発とその有効性の評価(その10)—心理教育普及ツールキットプロジェクト研究の概要と総括.(平成21年度厚生労働省精神・神経疾患研究委託費総括報告書.主任研究者:塚田和美),pp167-182, 2010
5)大島巌,福井里江(編):心理社会的介入プログラム実施・普及ガイドラインに基づく心理教育の立ち上げ方・進め方ツールキットⅠ:本編.地域精神保健福祉機構・コンボ,2011
6)Lehman AF, Steinwachs DM:Patterns of usual care for schizophrenia:initial results from the Schizophrenia Patient Outcomes Research Team(PORT)Client Survey. Schizophr Bull 24:11-20, discussion 20-32, 1998
7)Substance Abuse and Mental Health Services Administration(SAMHSA):Evidence-Based Practices KITs. SAMHSA, 2019 https://store.samhsa.gov/series/evidence-based-practices-kits/(2020年2月20日閲覧)
8)Bond GR, Evans L, Salyers MP, et al:Measurement of fidelity in psychiatric rehabilitation. Ment Health Serv Res 2:75-87, 2000
9)日本心理教育家族教室ネットワーク:家族心理教育インストラクター養成事業について.http://jnpf.net/?page_id=104(2020年2月20日閲覧)
10)塚田和美,伊藤順一郎,大島巌,他:心理教育が精神分裂病の予後と家族の感情表出に及ぼす影響.千葉医学 76:67-73, 2000
11)Ito J, Oshima I, Nishio M, et al:The effect of assertive community treatment in Japan. Acta Psychiatrica Scandinavica 123:398-401, 2011
12)Oshima I, Sono T, Bond G, et al:A randomized controlled trial of individual placement and support in Japan. Psychiatric Rehabil J 37:137-143, 2014
13)大島巌,山野則子,新藤健太,他:実践家参画型エンパワーメント評価の実施体制および評価支援体制.大島巌,源由理子,山野則子,他編:実践家参画型エンパワメント評価の理論と方法—CD-TEP法:協働によるEBP効果モデルの構築.日本評論社,2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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