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文献詳細

雑誌文献

精神医学62巻6号

2020年06月発行

文献概要

特集 精神科診断分類の背景にある考え方

DSM分類の背景にある精神疾患論—セントルイス学派の思想

著者: 古茶大樹1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学神経精神科

ページ範囲:P.837 - P.845

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抄録 DSM分類の原点であるDSM-Ⅲは,セントルイス学派の思想に強く影響を受けている。彼らのモットーは,精神医学を実証主義に基づく医学的モデルに近づけることであった。1970年にRobinsとGuzeは,精神医学的診断の妥当性と信頼性を確立するための5つの局面(phase)を提唱した。この提案がその後の精神医学の歴史に大きな影響を与えることになる。続くFeighner基準は彼らの思想を具体化した最初の試みであり,DSM-Ⅲを託されたSpitzer Rの目に止まった。同学派は一般的には器質論と目されがちだが,彼らはそれに反発し,自らを不可知論と位置付けている。同学派の主張を概説し,DSM分類とのかかわりに触れ,現在彼らが精神疾患をどのように捉えているのかを論じた。

参考文献

1)North CS, Yutzy SH:Goodwin and Guze's Psychiatric Diagnosis. 7th ed. Oxford University Press, New York, 2019
2)Lieberman JA:Shrinks:The Untold Story of Psychiatry. Little, Brown and Company, Boston, 2015(宮本聖也監訳,柳沢圭子訳:シュリンクス—誰も語らなかった精神医学の真実.金剛出版,2018)
3)古茶大樹:臨床精神病理学—精神医学における疾患と診断.日本評論社,2019
4)Woodruff RA, Goodwin DW, Guze SB:Psychiatric Diagnosis. Oxford University Press, New York, 1974
5)Robins E, Guze S:Establishment of diagnostic validity in psychiatric illness:its application to schizophrenia. Am J Psychiatry 126:107-111, 1970
6)Feighner JP, Robins E, et al:Diagnostic criteria for use in psychiatric research. Arch Gen Psychiatry 26:57-63, 1972
7)Frances A:Saving Normal. HarperCollins, New York, 2013
8)Insel TR:Transforming diagnosis. April 29, 2013 http://www.nimh.nih.gov/about/director/2013/transforming-diagnosis.shtml (2020年3月30日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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