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文献詳細

雑誌文献

精神医学62巻6号

2020年06月発行

文献概要

特集 精神科診断分類の背景にある考え方

精神疾患のバイオマーカーを考察する

著者: 橋本亮太1 松本純弥1 長谷川尚美1 三浦健一郎1

所属機関: 1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神疾患病態研究部

ページ範囲:P.875 - P.882

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抄録 精神疾患のバイオマーカー研究が活発になされているが,今のところ,誰もが認める精神疾患のバイオマーカーはないといっても過言ではない。バイオマーカーは「正常なプロセスや病的プロセス,あるいは治療に対する薬理学的な反応の指標として客観的に測定・評価される項目」と定義されており,精神疾患においては,生体試料由来物質だけでなく,認知機能,脳神経画像,神経生理機能,パーソナリティ傾向などが候補となる。バイオマーカーには,リスクバイオマーカー,診断/特性バイオマーカー,状態/病勢バイオマーカー,ステージバイオマーカー,治療反応性バイオマーカー,予後バイオマーカーの6つがあることが提案されており,本稿ではこれらについて概説する。

参考文献

1)Davis J, Maes M, Andreazza A, et al:Towards a classification of biomarkers of neuropsychiatric disease:from encompass to compass. Mol Psychiatry 20:152-153, 2015
2)橋本亮太,安田由華,山森英長,他:バイオマーカーはどこまで進歩したか?精神経誌 115:1203-1210, 2013
3)森田健太郎,三浦健一郎,笠井清登,他:精神疾患バイオマーカーとしての眼球運動.分子精神医学 17:177-184, 2017
4)日本神経精神薬理学会:統合失調症薬物治療ガイドライン.医学書院,2016
5)橋本亮太,山森英長,安田由華,他:Research Domain Criteria(RDoC)プロジェクトの概念.精神医学 60:9-16, 2018
6)橋本亮太:Research Domain Criteria(RDoC)とその実践—認知機能障害について.精神科治療学 32:419-424, 2017
7)橋本亮太:精神科診断が乗り越えるべきもの:未来への展望.精神科診断学 13:27-34, 2020
8)橋本亮太:精神疾患の客観的科学的診断法の開発の方法について再考する.日本生物学的精神医学会誌 31:1,2020 https://doi.org/10.11249/jsbpjjpp.31.1_1 (2020年5月1日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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