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文献詳細

雑誌文献

精神医学62巻6号

2020年06月発行

文献概要

特集 精神科診断分類の背景にある考え方

疾患単位と症候からみた精神科薬物療法

著者: 冨田真幸1

所属機関: 1医療法人財団厚生協会大泉病院

ページ範囲:P.883 - P.890

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抄録 精神疾患の本態がいまだ解明されていない中で行われている精神科薬物療法とは,歴史的な生い立ちを考えても,症候に対する対症療法として発展してきたものである。モノアミン仮説やドパミン仮説などは疾患理解に重要な役割を果たしたが,薬剤の効果から疾患の本態に迫ろうとする努力は挫折しており,現時点での精神科薬物療法はあくまでも疾患と症候に従属するものと理解しなければならない。しかし,その疾患単位そのものが時代とともに流動的であり,同時に薬剤カテゴリーもその境界は元々存在しないに等しく,精神科薬物療法は常に濫用される危険性を孕んでいる。過剰診断,過剰投薬を避けるために,丹念な臨床観察と薬物療法の意味の理解が必要不可欠である。

参考文献

1)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth ed. (DSM-5). American Psychiatric Publishing, Washington D.C., 2013(日本精神神経学会日本語版用語監修,髙橋三郎,大野裕監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014)
2)Akiskal HS, Pinto O:The evolving bipolar spectrum. Prototypes Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ, and Ⅳ. Psychiatr Clin North Am 22:517-534, 1999
3)Ghaemi SN, Ko JY, Goodwin FK:The bipolar spectrum and the antidepressant view of the world. J Psychiatr Pract 7:287-297, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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