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文献概要
特集 精神科医療における病名告知—伝えるか,伝えるべきでないか?伝えるなら,いつ,どのように伝えるか?
特集にあたって
著者: 明智龍男1
所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野
ページ範囲:P.1071 - P.1071
文献購入ページに移動 インフォームド・コンセントの法理の原則に則ると,意思決定能力のある患者に検査や治療の説明をする場合には,大前提として病名を伝えておく必要があると考えられる。一方,がんの告知を例にとると,わが国でがんの診断病名を率直に伝えるようになったのはわずかここ20〜30年ぐらいのことである。患者-医師関係もパターナリスティックなものから,患者の自律性を尊重するスタイルに大きく変わりつつある現代の医療の中で,精神疾患に関しての病名告知の是非や方法論を論じることには意義があるのではないだろうか? 一方,がんも同様であるが,精神疾患に関しては,スティグマの問題や患者の意思決定能力の問題など,より複雑な背景が存在する。また疾患によってはそもそも治癒が困難な病態や現代の医療水準では進行性の経過をたどるものも含まれる。加えて,患者には知る権利があると同時に知る権利を放棄する権利もあると言われる。
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