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特集 精神科医療における病名告知—伝えるか,伝えるべきでないか?伝えるなら,いつ,どのように伝えるか?
統合失調症の病名をいつ,どのように伝えるか?
著者: 賀古勇輝1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究院精神病態学分野精神医学教室
ページ範囲:P.1073 - P.1080
文献購入ページに移動抄録 統合失調症の病名告知は古くから議論されてきた問題であり,特に2002年の「精神分裂病」から「統合失調症」への呼称変更の前後で注目されたように思われる。呼称変更から18年が経過し,病名告知は促進され,統合失調症という用語も馴染んではきたものの,臨床において病名告知は最も重要であり悩ましい作業であることに変わりはない。しかし,病名をいつ,どのように伝えるかについては精神科医の中でも十分なコンセンサスが得られているとは言えず,それを教育・研修するようなシステムもなく,各主治医のスタイルによってさまざまというのが実態ではないだろうか。本稿では,統合失調症の病名告知の実際について,筆者の拙い経験を書かせていただき,病名告知の教育・研修についても若干言及する。
参考文献
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8)西村由貴,大野裕:精神分裂病の呼称変更と医師の病名告知に関する研究.厚生労働科学研究費補助金(障害保健福祉総合事業)「精神疾患の呼称変更と効果に関する研究(主任研究者:大野裕)」平成16年度総括・分担研究報告書.pp5-13, 2005
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