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特集 精神科医療における病名告知—伝えるか,伝えるべきでないか?伝えるなら,いつ,どのように伝えるか?
双極性障害の病名をいつ,どのように伝えるか?
著者: 森博史1
所属機関: 1森メンタルクリニック
ページ範囲:P.1081 - P.1088
文献購入ページに移動抄録 「双極性障害の病名をいつどのように伝えるか」について筆者の告知方針を紹介した。病名告知は,医師-患者の治療関係の確立のためにも,初診時に行うことが原則である。診断の根拠を示し,患者の意見も受け入れて,告知,心理教育を行い,治療を開始することが必要である。告知や心理教育の内容の記憶が曖昧な患者もいるので,適時病名を再告知することが望ましい。また「双極性を有する気分障害患者」に病名告知に関するアンケートを行い,その結果を報告した。多くの患者は病名を受容していたが,「偏見を持たれる」と考える患者は少なくなく,「治りにくい」と受け止めた患者は多かった。双極性障害において「病気を治す」ための,最初の一歩が病名告知と考えた。
参考文献
1)賀古勇輝:統合失調症患者の病名告知に関する多施設調査.精神経誌 116:813-824, 2014
2)Ghami SN著,松崎朝樹監訳,冨岡悠,齊藤聖,船田大輔訳:気分障害ハンドブック.メディカル・サイエンス・インターナショナル,pp.294-295, 2013
3)森博史:うつ病と双極性障害の心理教育.診断と治療のABC 141(別冊):137-144, 2018
4)田中輝明,小山司:双極スペクトラム障害の診断.精神経誌 111:633-637, 2009
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6)Colom F, Vieta E著,秋山剛,尾崎紀夫監訳:双極性障害の心理教育マニュアルー患者に何を,どう伝えるか.医学書院,p78, 2012
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