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文献詳細

雑誌文献

精神医学62巻8号

2020年08月発行

特集 精神科医療における病名告知—伝えるか,伝えるべきでないか?伝えるなら,いつ,どのように伝えるか?

認知症の病名をいつどのように告知するか?

著者: 繁田雅弘1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.1105 - P.1111

文献概要

抄録 認知症の病名告知については,診断がなされればできるだけ速やかに告知すべきであるものの,受容を強いることは控え,本人が否認したり,保留している場合は,その向き合い方を尊重して見守ることが大切であると筆者は考えている。それとともに,病名告知の目指すところとリスク,病気の先入観や偏見が受容に及ぼす影響,そして実臨床における告知の実際について筆者の経験から述べた。どのように告知の可否の見当をつけているのか,言葉を選びながらどのように告知の衝撃を調整しているかについて,かかりつけ医や専門医たちの経験を参考に述べた。最後に,“アルツハイマー型認知症”という病名は認知症診療において最も頻繁に用いられるが,その診断を受けた人の中には一定程度タウオパチーが含まれているとされる。そのことを情報提供すべきか否かについて検討する時期にきていることを述べた。

参考文献

1)今井幸充:痴呆症の告知—積極的立場から.老年精神医学雑誌 15(増刊):139-146, 2004
2)長濱康弘,松田実:痴呆症の告知—慎重な立場から.老年精神医学雑誌 15(増刊):147-153, 2004
3)繁田雅弘:認知症の人と家族を支える説明.本人に対する病気の説明—告知.繁田雅弘編:実践・認知症診療—認知症の人と家族・介護者を支える説明.医薬ジャーナル社,pp45-48, 2013
4)繁田雅弘,半田幸子,今井幸充:認知症診療における適切な情報提供と対応.患者と家族の安心と納得を左右する要因 平成22年度首都大学東京傾斜的研究費(部局分)健康福祉学部部局.競争的経費調査結果報告書.平成23年3月.2011 http://www.repository.lib.tmu.ac.jp/dspace/bitstream/10748/4316/14/10280-011.pdf (2020年5月20日閲覧)
5)黒川由紀子:第6章 認知症の事例.日本の心理臨床.高齢者と心理臨床—衣・食・住をめぐって.誠信書房,150-192, 2013
6)Wright BA:Physical Disability-A Psychological Approach. Harper & Row, New York, 1960
7)ダイアナ・フリール・マクゴーウィン著,中村洋子訳:私が壊れる瞬間—アルツハイマー病患者の手記.ディーエイチシー,1993
8)クリスティーン・ブライデン著,馬籠久美子,桧垣陽子訳:私はわたしになってゆく—認知症とダンスを.改訂新版.クリエイツかもがわ,2012
9)Starkstein SE, Jorge R, Mizrahi R, et al:A diagnostic formulation for anosognosia in Alzheimer's disease. J Neurol Neurosurg Psychiatry 77:719-725, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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