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文献詳細

雑誌文献

精神医学62巻8号

2020年08月発行

文献概要

研究と報告

10代における乱用薬物の変遷と薬物関連精神障害患者の臨床的特徴

著者: 宇佐美貴士12 松本俊彦2

所属機関: 1国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター病院 2国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所

ページ範囲:P.1139 - P.1148

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抄録 わが国における10代の薬物乱用の実態を調査するために,全国の有床精神科医療施設を対象に実施した病院調査から得られた10代の薬物関連精神障害症例71例を比較検討した。危険ドラッグは2014年調査の48%から2018年調査で0%へと低下し,市販薬は2014年調査の0%から2018年調査で41.2%へと増加し,乱用薬物が危険ドラッグから市販薬へと推移していた。2014年の危険ドラッグ乱用群と2018年の市販薬乱用群を比較すると,学歴やICD-10 F1分類の下位診断カテゴリー,併存障害が異なり,臨床現場において,新たな薬物乱用層が出現していることが示唆された。得られた知見から今後のわが国の薬物乱用防止教育と精神科医療に求められることについて考察を行った。

参考文献

1)松本俊彦:薬物乱用.五十嵐隆編小児科診療ガイドライン—最新の診療指針,第4版.総合医学社,pp687-691, 2019
2)Gilvarry E:Substance abuse in young people. J Child Psychol Psychiatry 41:55-80, 2000
3)Matsumoto T, Tachimori H, Tanibuchi Y, et al:Clinical features of patients with designer drugs-related disorder in Japan:a comparison with patients with methamphetamine-and hypnotic/anxiolytic-related disorders. Psychiatry Clin Neurosci 68:374-382, 2014
4)松本俊彦,宇佐美貴士,船田大輔,他:全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査.平成30年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)薬物乱用・依存状況等のモニタリング調査と薬物依存症者・家族に対する回復支援に関する研究(研究代表者 嶋根卓也)総括・分担研究報告書.pp75-141, 2019
5)法務省:平成30年版 犯罪白書 第3編/第1章/第2節/2 2.薬物犯罪.2018
6)Tanibuchi Y, Matsumoto T, Funada D, et al:The influence of tightening regulations on patients with new psychoactive substance-related disorders in Japan. Neuropsychopharmacol Rep.2018 Oct 19. doi:10.1002/npr2.12035.
7)Hawton K, Rodham K, Evans E:By Their Own Young Hand:Deliberate Self-harm and Suicidal Ideas in Adolescents. Jessica Kingsley Publisher, London, pp21-39, 2006(松本俊彦,河西千秋監訳:自傷と自殺—思春期における予防と介入の手引き.金剛出版,2008)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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