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文献詳細

雑誌文献

精神医学63巻1号

2021年01月発行

短報

身体合併症を有する治療抵抗性統合失調症に対して電気けいれん療法の併用によりクロザピン導入に至った1例

著者: 森並次朗1 本田和揮1 朴秀賢2 竹林実12

所属機関: 1熊本大学病院神経精神科 2熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座

ページ範囲:P.141 - P.144

文献概要

抄録 治療抵抗性統合失調症(treatment-resistant schizophrenia:TRS)の国内外の治療ガイドラインでは,クロザピン(CLZ)の効果が不十分な場合に修正型電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy:ECT)を導入することが推奨されている。しかし,精神症状のためCLZの導入が困難な場合もあり,身体疾患を合併している場合もCLZ導入がためらわれる。今回,糖尿病を有し,被害妄想による強い拒薬のため糖尿病の悪化を呈したTRSに対し,早期にECTを施行して精神症状を改善させたことによりCLZ導入が可能となり,糖尿病の治療も可能となった一例を経験した。身体合併症を有する場合や精神症状のために拒薬が著しい場合には,ECT施行がCLZの円滑な導入を可能にすると考えられる。

参考文献

1)日本神経精神薬理学会:統合失調症薬物治療ガイドライン.2015
2)Kane JM:Treatment-resistant schizophrenic patients. J Clin Psychiatry 57 suppl 9:35-40, 1996
3)Wang G, Zheng W, Li X, et al:ECT augmentation of clozapine for clozapine-resistant schizophrenia:a meta-analysis of randomized controlled trials. J Psychiatr Res 105:23-32, 2018
4)小林弘典,藤田洋輔,西村健一郎,他:電気けいれん療法・Clozapine併用療法により遅発性ジストニアと精神症状の双方に改善を認めた難治性統合失調症の1例.精神医学 59:363-367, 2017
5)日本精神神経学会ECT・rTMS等検討委員会編:ECTグッドプラクティス.新興医学出版社,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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