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特集 統合失調症の心理社会的治療—どのように使い分け,効果を最大化するか
文献概要
抄録 ピアサポートとは,仲間(ピア)同士の支え合いであり,多様な領域で活用されている。精神医療保険福祉の領域では,リカバリー概念の浸透と相まって,障害当事者のエンパワメントを促す有効な支援の一つとして取り上げられることが多い。障害福祉全体を視野に入れると,障害者の人権尊重という視点から,ピサポートが制度・政策と結びついて活用される方向性も見えてきている。2021年度からは,障害福祉サービスなどの一部において,ピサポート体制加算が計上できることにもなった。しかし,その効果を発揮できる環境づくりはまだ途上にある。人の多様性を許容する共生社会の実現に近づくためにも,障害当事者の主体性が尊重されるような支援が求められており,その実現のために専門職とピアサポーターが協働できる環境の整備が今後も求められている。
参考文献
1)濱田由紀:精神障害をもつ人のリカバリーにおけるピアサポートの意味,日本看護科学会誌 35:215-224,2015
2)小阪和誠:当事者の関わり(ピアサポート)について及び当事者視点での精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの在り方等について—第5回 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会資料.2020 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000686491.pdf(2021年9月1日閲覧)
3)久保紘章,副田あけみ編著:ソーシャルワークの実践モデル—心理社会的アプローチからナラティブまで.川島書店,2005
4)相川章子:プロシューマーの歴史と動向.精神療法 38:253-264, 2015
5)平成28年度〜30年度 厚生労働科学研究費補助金(障害者政策総合研究事業)(総合)研究報告書 障害者ピアサポートの専門性を高めるための研修に関する研究(研究代表:岩崎香).2019
6)令和元年度〜令和2年度 厚生労働科学研究費補助金(障害者政策総合研究事業)(総合)研究報告書 障害者ピアサポートの専門性を高めるための研修に係る講師を担える人材の養成及び普及のための研究(研究代表者 岩崎香).2021
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