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雑誌目次

雑誌文献

精神医学63巻11号

2021年11月発行

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特集 「実感と納得」に向けた病気と治療の伝え方

「実感と納得に向けた伝え方」を特集して

著者: 福田正人

ページ範囲:P.1585 - P.1585

 精神疾患の診療を進めるためには,診断や治療についての患者や家族の十分な理解が基本となる。しかし精神疾患には,診断の根拠や治療の指標となる検査が乏しく「見えにくい」,疾患とみずからの精神の関係が「分かりにくい」,病感や病識に影響が及ぶことがあり「感じにくい」,などの特徴があり,十分な理解が難しいことがある。
 精神疾患についての情報はインターネットに溢れているが,その内容が正確であっても,当事者がそこで得られる知識と自分自身の経験を照らし合わせることには,ハードルがある。精神機能や精神疾患についての理解が難しいことによる基本的な誤解,精神機能や脳機能が複雑であることに由来する困惑,回復への期待にもとづく新しい病名や治療への過大な期待,などを臨床の現場でしばしば経験する。

うつ病

著者: 渡邊衡一郎

ページ範囲:P.1587 - P.1595

抄録 うつ病治療の成功のためには,「当事者が治療者を信頼する」ことが前提となる。気分障害の当事者は,あらゆる疾患の中で最も治療者を信頼していると言われ,その当事者の信頼にいかに応えるかが治療の成否を分かつと考える。共同意思決定(SDM)は,治療選択肢の多い精神疾患の治療に適している。良好なコミュニケーションに基づき,当事者に「治療者が親身にかかわってくれている」というプラスの印象を与えやすい。わが国でも,初診時にSDMを導入することで,会話が活発になり,決定に対する自信も高くなった。また,治療上新しい局面を迎える際にもSDMの活用が望ましい。SDMは治療者の治療に対する考えや姿勢を表すものと言い換えることができ,そのことが当事者の実感と納得に繋がり,治療成功に繋がるものと考える。

双極性障害

著者: 寺尾岳

ページ範囲:P.1597 - P.1605

抄録 双極性障害の診断や治療を,患者に実感し納得してもらうための筆者の工夫を紹介した。まず,どの程度の元気の良さが軽躁や躁病になるのか,患者に複雑で難しい診断基準を説明するのではなく,サラリーマンのお父さんの例を挙げて,正常気分,軽躁エピソード,躁病エピソードを具体的に説明して理解を促進する方法を紹介した。次に,双極性障害にしばしばみられる抑うつエピソードの医師側の対応のポイントや,軽躁や躁病から抑うつエピソードに転じるときの気持ち悪さを患者にジェットコースターのたとえを挙げて説明する工夫を紹介した。最後に,患者の病気のみならず人生を視野に入れて実存的なかかわりを持つことで医師・患者関係に治療同盟が成立し,患者の実感や納得も促進されることを強調した。

統合失調症—共同意思決定の文脈をもとに

著者: 山口創生 ,   安間尚徳

ページ範囲:P.1607 - P.1615

抄録 統合失調症患者との話し合いの中で,患者が自身の疾患を実感し,彼らが納得する治療を提供することは,精神科の医師にとって大きな関心事と思われる。他方,その実現は容易ではないかもしれない。たとえば,共同意思決定(shared decision making:SDM)の研究は,患者と治療について話し合うことに関する現実的な課題として,意思決定能力,疾患特性,患者を取り巻く環境,医師の職業的特性,日本の文化的特徴,診療システムの限界などを指摘している。そのような中,患者の治療に関する納得感を促進するためには,診察中の治療内容の決定だけにとらわれすぎず,患者の生活全体を支援する視点が必要になると推察される。より具体的には,「共に悩む」関係性の構築,医師以外のスタッフとの診察準備,患者が治療の経験を蓄積できるように多職種チームで支援することなどが解決の糸口となる可能性がある。

認知症

著者: 繁田雅弘

ページ範囲:P.1617 - P.1624

抄録 認知症という疾患とその治療について,本人と家族が実感をもって聞き,納得できるような伝え方を検討した。まず医療機関の情報提供に対する家族の満足度に関する調査結果を概観した。続いて本人告知に対する家族の反応についての調査結果を紹介し,告知の意義と留意点を考えた。そして実感と納得に向けた伝え方について考える前に,自己の変化(変調や症状)への気付きをきっかけに病気を理解し受け入れていく過程を概観した。病気の受容の難しさについても言及した。これらの点をふまえて認知症という病気とその治療についての実感や納得に向けた伝え方について述べた。

成人の神経発達症—主観と客観を総合した多軸的・階層的な視点から

著者: 本田秀夫

ページ範囲:P.1625 - P.1632

抄録 神経発達症の診療対象となる成人例は,幼児期〜学童期に診断されて療育や特別支援教育などの支援を受けながら成人期に達している人たち(第1群)と,思春期以降に初めて診断される人たち(第2群)の2群に分けられる。特に後者では,1)生来性の素質としての自閉スペクトラム(AS)特性,2)AS以外の素質・素因,3)環境因が複雑に交絡した結果として生じる育ち方の3軸で多軸的・階層的に診断・評価を行う必要がある。診断の説明では,主観的所見と客観的所見を整理し,行動所見の確認→特性の判断→診断の順に段階的に説明する。現在は,全症例に対して常に神経発達症の特性に関する評価を行い,説明できる臨床力が,すべての精神科医に求められる段階に入ってきたといえる。

パニック症

著者: 塩入俊樹

ページ範囲:P.1633 - P.1640

抄録 身体症状症群や解離性障害群のような他の神経症性疾患に比べて,生物学的な病態仮説がある程度想定されているパニック症(PD)の病気や治療の説明は,医療者側からすると,多分にやりやすいであろう。しかしながら,患者や患者家族,つまり当事者が自身の「実感」に基づいて「納得」できるような説明,伝え方となると,そう安易ではないであろうことは容易に想像できよう。
 そこで本稿では,PDに関して,当事者が満足する「説明」と,さらにその先にある治療に関する意思決定プロセスをどう構築していくかについて,インフォームド・コンセント(informed consent:IC)や共同意思決定(shared decision making:SDM)という概念から始めて,筆者の経験を踏まえて,PDに特化した「実感と納得」に向けた説明を試みてみたい。

社交不安症

著者: 朝倉聡

ページ範囲:P.1641 - P.1648

抄録 「実感と納得」に向けた社交不安症(social anxiety disorder:SAD)の治療について,英国の「NICEガイドライン」,わが国で提案された「SADの小精神療法」も参考に述べた。治療には,ガイドラインなどによる標準化は重要と考えられるが,個々の病態に合わせた個別化も必要と思われる。SADでは,症状は自分の性格特性で変えることはできないと信じ込んでいたりして治療に繋がらないことも多い。このため,症状を心情的レベルで丁寧に聞き取ることを通して,自らを理解してもらえる人に出会えたという「実感」が重要と思われる。「納得」を得るためには,温かく情緒的な治療関係を築けるように配慮し,病態理解や症状は治療経過の中で変化していくことがあるため,それぞれの場面に合わせた受け入れられやすい説明を工夫する必要があると考えられる。

強迫症

著者: 村山桂太郎 ,   中尾智博

ページ範囲:P.1649 - P.1656

抄録 大学病院の専門外来という診療環境の中で,筆者らが強迫症の治療を始めるにあたり,初診時に心掛けていること,患者や家族に対してどのように病気や治療の説明をしているかを述べた。初診時では,特に主訴に添いつつ患者が日常生活で具体的にどのように困っているのかを治療者がイメージできるように行動分析(ケースフォミュレーション)を行っていることを説明した。疾患や治療に関する説明では,強迫症の一般的な説明と治療に関する情報に加えて,薬物療法が中断となったケースについて,行動分析と薬歴の聴取を丁寧に行うことで治療関係が構築され,再開できる可能性があることを述べた。治療者の利他の気持ちにより生じる「患者が症状によってどのように生活に支障を来しているのか」という純粋な疑問と丁寧にその状況を聴取していく姿勢が治療関係を築き,当事者の実感と納得に繋がるだろう。

身体症状症(疼痛)

著者: 西原真理

ページ範囲:P.1657 - P.1664

抄録 身体症状症について,その病態や治療をどのように考え,どのように伝えるのかについてまとめた。まず,最初に身体症状症の診断を考える上で,参考となる架空症例を挙げ,その臨床情報を変更することで見方がどのように変化し得るかを検討した。次に身体症状症から派生する問題を取り上げ,その本質がどこにあるのかについてCOVID-19との関係から考察した。また,身体症状症患者に病気や治療を伝えるときにその障壁となり得る要素についてはアレキシサイミアや認知機能障害を例に挙げた。さらに,治療の基本的な考え方としては,検査や治療などに一定の制限が必要であったり,痛み以外の症状に着目することの重要性を強調した。中心テーマである伝え方の工夫については図式化など筆者の経験を交えながら解説し,最後に共同意思決定をどのように行うべきかについても言及した。

トラウマ関連疾患

著者: 村上伸治

ページ範囲:P.1665 - P.1672

抄録 パニック障害,うつ,摂食障害などのよくある精神疾患も,経過の中で芋づる式にトラウマが出てくる例があり,症状とトラウマは繋がっているとの説明が納得が得られやすい。適応障害でも傷つく度に過敏性が増していく逆耐性現象的な例がある。性的外傷体験などの被害者は自分が悪いと考えやすく,人生全体が自己否定的になりやすいので,自己否定自体がトラウマ症状であるとの説明が必要である。外傷体験を繰り返し述べる例では,支持的な傾聴を持続曝露療法的に活用し得る。トラウマは一時の外傷体験だったはずなのに,やがては患者の人生すべてを否定的にしてしまいやすい。これは火事における延焼にたとえられる。延焼を理解するだけでも延焼は下火になる。トラウマに気付いたら,心理教育によって延焼を抑え,希望に繋がる説明を行うことが求められる。

解離性障害

著者: 岡野憲一郎

ページ範囲:P.1673 - P.1681

抄録 本論文では解離性障害の「実感と納得に向けた病気の説明」について論じた。解離性障害はその診断に至るまでにさまざまな難しさが立ちはだかる。それらは解離性障害の症状の幅や範囲が非常に広く,さまざまな身体科疾患や精神科疾患を模倣すること,統合失調症との鑑別がしばしば問題になること,またそれが従来虚偽性障害や詐病と間違われることが非常に多かったという事情などである。その上で解離性障害の症状についての説明や,その原因,ないしは治療方針について,患者にいかに説明すべきかについて論じ,適切な比喩を用いて患者に伝えるためのいくつかの考えを提供した。特に解離性障害を神経ネットワークの異常として把握することの有用性について論じた。

依存症

著者: 松本俊彦

ページ範囲:P.1683 - P.1690

抄録 依存症は否認の病といわれ,かつては,「依存症からの回復には,まずは底つき体験を通じて,否認を打破することが必要」と信じられていた。しかし実際には,治療者が否認を打破しようとすればするほど,否認は強固なものとなり,最終的には治療中断をもたらしやすい。そうした反省から,むしろ今日の依存症臨床では,「否認は回復の始まりであり,底つき体験は治療の中,あるいは,自助グループの仲間の中で体験するものだ」という認識へと変化している。本稿では,中枢神経興奮薬である覚醒剤の依存症を取り上げ,いかにしたら「実感と納得」に向けた病気と治療の伝え方ができるのかについて,筆者自身の臨床経験に基づいて私見を述べた。

摂食障害

著者: 西園マーハ文

ページ範囲:P.1691 - P.1696

抄録 摂食障害,特に神経性やせ症は,病識や治療動機を持つのが難しい疾患と考えられている。確かに診断基準にある通り,ある時点での低体重の深刻さを認識できないという意味では,病識に乏しいことが多いが,過去に比べて変化が起きていることや自分の思い通りに体重を操作できないことなどについての認識を持っていることは少なくない。初発の段階ではこのような認識を持っていない場合もあるが,入院事例の回復途上で振り返ると,発症時点でこのような問題があったことを認めるものが多い。これらの認識は,生活上の何らかの変化を経験する時にもみられやすい。摂食障害では,生活が固定化して変化が乏しい場合が多いため,生活に何らかの変化があった場合は,それによる本人の認識の変化を見逃さないようにすることが必要である。病気への認識を治療に結び付けられるよう,治療者は支援が必要である。

自殺企図(救急場面)—「苦しみ」と「自己存在」に着目したアプローチ

著者: 藤平和吉 ,   井上恵理子 ,   相澤千鶴

ページ範囲:P.1697 - P.1703

抄録 自殺企図後の救急場面で,患者の「実感と納得」に資する援助の在り方を検討した。対応の骨子の1つ目は患者の「苦しみ」に応じることである。傾聴は苦しみを受け取る作業であり,患者は「語り」を通して,自分自身の苦しみとの関係を変えていく端緒となる。骨子の2つ目は「自己存在」の回復である。自殺企図を行う患者の多くは,自律存在・関係存在・時間存在に分類される自己存在が弱まっており,それが苦しみの背景にある。患者の価値意識を共有しながら自己存在の弱まりを確認し,それが回復するようなさまざまな工夫を考えると,患者の実感と納得に近づく道筋が見えてくる。こうした回復の過程は,統合失調症治療で提示される「リカバリー」概念にも通じるものだが,精神疾患の長期的な回復過程のみならず,自殺企図後の救急場面でも有用な発想となる。

パーソナリティ障害—新しい障害概念と共同治療策定モデル

著者: 林直樹

ページ範囲:P.1705 - P.1712

抄録 精神科治療は,患者(および関係者)と治療者の協力関係に基づいて進められる営為である。治療者は,そこで専門的な援助を行う役割を担うのであるが,それを実際に役立てる主体は患者である。患者が診断やその治療に納得できるかどうかは,その成果を決定する重要な要因である。しかし,パーソナリティ障害(personality disorder:PD)の治療では,その障害概念の特徴から,患者に納得してもらうことが容易でないことがしばしばある。
 最近発表されたDSM-5のPD代替診断モデルやICD-11のPD診断基準では,パーソナリティ(人格)とPDとの関係が明示されるなどの大きな変革が行われている。本稿では,最も臨床で問題になることの多い境界性(borderline)PDを取り上げて,最近の診断基準にみられる新しいPDの診断概念に対応する診断や治療についての説明のあり方について検討し,その一例を提示した。そこでは,患者のパーソナリティ(人格)の尊重を徹底することを最優先としつつ,患者の感じ方に沿いながら障害の説明や心理教育が進められる。さらに筆者は,PD診療の実態に適合する治療モデルとして,治療プランを治療者と患者が協力して策定し,実施後にその効果の検証する過程を重ねていく共同治療策定モデルを提示した。

コンサルテーションリエゾンおよびサイコオンコロジー

著者: 明智龍男

ページ範囲:P.1713 - P.1719

抄録 がん患者の精神疾患としては適応障害とうつ病の頻度が高い。これらの状態を疑われて紹介された場合には,担がん状態を念頭に置いた配慮が求められる。多くの患者はがんという診断やつらい治療に圧倒されるという現実的な困難の中で不安や抑うつを経験しているため,優先順位としては,精神科的な治療に比べて,よりよいがん治療を受けることが優先される。この点に留意しておくことが重要であり,また同時に軽度のものも含めて否認という心理的防衛機制を示していることが多いことを知っておきたい。加えて,患者サイドにもさまざまな誤解や懸念そして知識不足があるため,説明に際しては,これらに十分配慮する必要がある。本稿では,がん医療,サイコオンコロジー,緩和医療のセッティングにおいて,適応障害やうつ病を合併した入院患者が精神科や緩和ケアチームに紹介された際の説明に関しての留意点を中心に概説した。

不眠症

著者: 高江洲義和

ページ範囲:P.1721 - P.1727

抄録 不眠症治療において汎用されているベンゾジアゼピン受容体作動薬の長期・多剤使用は臨床現場で問題となっており,診療ガイドラインでも不眠症状の改善後は減量・中止を目指す出口戦略が重要視されている。一方で,睡眠薬長期服用者の減量・中止は容易ではないため出口戦略の実装化は十分にはなされていない。また,すべての睡眠薬服用者が減量・中止を目指していくことは現実的ではなく,安全な維持療法を目指していくことも出口戦略の一つの選択肢となる。しかしながら,睡眠薬長期服用者の継続・中止をどのような基準で決めていくのかについては明確なエビデンスが存在しないため,その意思決定は個別の患者で益と害を勘案して決めていくことが必要となる。睡眠薬の継続・中止の意思決定には,医療者と患者がともに意見を話し合い決めていく共同意思決定(SDM)を用いることが望ましいと考える。我々は,共同意思決定の補助資材(decision aid)を開発して,睡眠薬出口戦略の実装化を目指している。

研究と報告

スーパー救急病棟における統合失調症の薬物療法—初回入院群と複数回入院群の比較

著者: 小野英里子 ,   山田浩樹 ,   笹森大貴 ,   田玉紘史 ,   石川文徳 ,   石井弘毅 ,   岩見有里子 ,   佐藤諒太郎 ,   長塚雄大 ,   田中有咲 ,   高塩理 ,   岩波明

ページ範囲:P.1729 - P.1738

抄録 2010年から2017年に昭和大学附属烏山病院スーパー救急病棟に入院した患者は3,686人であり,統合失調症患者は1,512人であった。入院回数を把握できた患者を初回入院群と複数回入院群に分け,最終処方を比較したところ,複数回入院群は初回入院群に比べ,有意に抗精神病薬の投与量やその他の向精神薬の併用率が高かった。また7回目までの入院回数については入院回数とクロルプロマジン換算値の相関がみられた。回帰分析では高用量内服と複数回入院との関連がみられた。複数回入院によって最終的な投与量が増加する可能性や,複数回入院患者の方がガイドラインに基づいた薬物療法が困難である可能性が示唆された。

短報

反復性うつ病の経過中にレビー小体型認知症が疑われ,電気けいれん療法および薬物療法で長期寛解状態が維持されている1例

著者: 都剛太朗 ,   藤瀬昇 ,   福原竜治 ,   朴秀賢 ,   竹林実

ページ範囲:P.1739 - P.1744

抄録 レビー小体型認知症(DLB)は初期にうつ病エピソードを呈することが多いことが知られている。本症例はX−5年から抑うつ症状を認め入退院を繰り返していた。X年に抑うつ状態が再燃し亜昏迷状態となった。電気けいれん療法(ECT)を施行したところ著明に改善した。同時に,筋強剛などのパーキンソン症状も改善した。その後,幻視,軽度認知機能障害を認めた。さらに,MIBG心筋シンチグラフィーで心集積の低下,ドパミントランスポーター画像で両側性の集積低下が明らかとなり,反復性うつ病とDLBの併存が疑われた。ECT反応後はうつ病エピソードの再発予防のためlithiumおよびDLBに対してdonepezilを開始し,長期寛解を維持している。Lithiumとdonepezilの併用療法が,うつ病エピソードを伴ったDLBの寛解維持の一つの選択肢である可能性が示唆され,さらなる今後の症例の蓄積が必要である。

資料

統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)の簡略版および短縮版

著者: 兼田康宏 ,   住吉太幹

ページ範囲:P.1745 - P.1748

抄録 我々は簡便で鋭敏な認知機能評価のため,統合失調症認知機能簡易評価尺度(Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia:BACS)の日本語版を開発し,その後,年代および性別を考慮したz-score/T-scoreの算出を可能にするための健常者データを提供してきた。この度,さらに短時間で認知機能を評価するためにBACSの2つの省略版(簡略版および短縮版)を紹介するとともに,それらを使用した際にz-score/T-scoreの算出を可能にするためのデータを提供する。

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基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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