文献詳細
特集 「実感と納得」に向けた病気と治療の伝え方
文献概要
抄録 大学病院の専門外来という診療環境の中で,筆者らが強迫症の治療を始めるにあたり,初診時に心掛けていること,患者や家族に対してどのように病気や治療の説明をしているかを述べた。初診時では,特に主訴に添いつつ患者が日常生活で具体的にどのように困っているのかを治療者がイメージできるように行動分析(ケースフォミュレーション)を行っていることを説明した。疾患や治療に関する説明では,強迫症の一般的な説明と治療に関する情報に加えて,薬物療法が中断となったケースについて,行動分析と薬歴の聴取を丁寧に行うことで治療関係が構築され,再開できる可能性があることを述べた。治療者の利他の気持ちにより生じる「患者が症状によってどのように生活に支障を来しているのか」という純粋な疑問と丁寧にその状況を聴取していく姿勢が治療関係を築き,当事者の実感と納得に繋がるだろう。
参考文献
1)塩入俊樹,松永寿人:強迫性障害.塩入俊樹,松永寿人編,野村総一郎,中村純,青木省三,他シリーズ編集:《精神科臨床エキスパート》不安障害診療のすべて.医学書院,pp257-263, 2014
2)金生由紀子:チック障害との関連によるOCDの検討.精神経誌 111:810-815, 2009
3)Koran LM, Hanna GL, Hollander E, et al:Practice guideline for the treatment of patients with obsessive-compulsive disorder. Am J Psychiatry 164(suppl 7):5-53, 2007
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