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文献詳細

雑誌文献

精神医学63巻12号

2021年12月発行

文献概要

特集 うつ病のニューロモデュレーション治療の新展開

ニューロモデュレーション総論

著者: 竹林実1

所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座

ページ範囲:P.1761 - P.1765

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抄録 ニューロモデュレーションはデバイスを用いた神経刺激の治療法であり,身体疾患では広く用いられている。精神疾患に対しては,1940年代に不可逆な後遺症を生じたロボトミーと乱用を生じた電気けいれん療法(ECT)の負の歴史があり,特に本邦においては脳神経外科治療に関しては精神科領域では議論できない状況が続いている。ECTは厳密な適用,高い治療効果と手法の改善により,2000年代に入りニューロモデュレーションとして,再評価されるに至った。低侵襲性の反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)が2019年に本邦において保険適用を取得し,さらに低侵襲性の新しいニューロモデュレーションが次々と開発されている。一方,迷走神経刺激療法(VNS)や深部脳刺激療法(DBS)などの可逆的な脳神経外科治療は,研究段階ではあるが難治性うつ病の治療法として海外の脳外科領域で先行している。負の歴史と真摯に向き合いながら,倫理面の整備,脳外科領域とのギャップを埋めるような精神科領域での涵養,それらを踏まえた上,学会などで議論するテーブルを作ることが今後の課題と思われる。

参考文献

1)鮎沢聡,松村明:ニューロモデュレーションの現状と総論.脳神経外科ジャーナル 26:864-872, 2017
2)平孝臣:海外における精神疾患に対する脳神経外科治療の現状.日本生物学的精神医学会誌 24:11-21, 2013
3)中村元昭:精神科医療におけるニューロモデュレーションの歴史と現在,そして未来.日本生物学的精神医学会誌 23:121-129, 2012
4)Takebayashi M:The development of electroconvulsive therapy in Japan. JECT 26:14-15, 2010
5)竹林実:身体療法.尾崎紀夫,三村将,水野雅文他編著:標準精神医学 第8版.医学書院,pp150-154, 2021
6)竹林実:電気けいれん療法の最近の進歩.臨床精神医学 49:763-770, 2020
7)国立保健医療科学院:重症難治性強迫性障害(OCD)に対する脳深部電気刺激療法(DBS)ランダム化クロスオーバー試験およびオープンラベル試験.臨床研究情報ポータルサイト. https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/um?trial_id=UMIN000022969(2021年11月1日閲覧)
8)橳島次郎:ニューロモデュレーションの倫理的問題.臨床精神医学 49:801-807, 2020
System as Adjunctive Therapy Versus a No Stimulation Control in Subjects With Treatment-Resistant Depression(RECOVER). https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03887715(2021年11月1日閲覧)
10)Scangos KW, Khambhati AN, Daly PM, et al:Closed-loop neuromodulaton in an individual with treatment-resistant depression. Nat Med 27:1696-1700, 2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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