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精神科集中ケア期における早期作業療法の効果と意義—プログラム名:Picot(ピコット)の実践報告

著者: 杉山直也1 長谷川花1 梶浦裕治1 宇留嶋祥枝1 山田信昭1 牛島一成1 内田千惠1 内堀来未子1 石切山涼子1

所属機関: 1公益財団法人復康会沼津中央病院

ページ範囲:P.1863 - P.1871

抄録 一般身体医療において早期リハビリテーションの有用性が注目される中,精神科における早期作業療法の効果や意義は不明である。今回,精神科救急入院料の集中ケア期に早期作業療法プログラムを導入し,病院業務管理指標,レジストリデータ,看護師アンケートにより,その影響を検討した。実行可能性が示され,閉塞感解消,治療アドヒアランスの向上,職員意識の変化,アセスメント精度の向上,治療の統合性,チーム医療の推進など,種々の効果が示唆された。身体的拘束期間の減少を観察したが,因果関係は示されなかった。限界としては,単施設の試み,観察研究デザイン,観察期間が挙げられる。今後,精神科早期作業療法のさらなる検証が望まれる。

参考文献

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掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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