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文献詳細

雑誌文献

精神医学63巻12号

2021年12月発行

資料

リカバリー志向の介入プログラムの実践—複数の介入法をパッケージ化したワークブックの作成とその実践経験から

著者: 池田朋広1234 種田綾乃25 髙木のり子23 千原悠一6 江島智子13 赤畑淳47 増川ねてる8 稲本淳子9 千坂奏2

所属機関: 1高崎健康福祉大学健康福祉学部社会福祉学科 2あいメンタルクリニックリカバリーセンター 3国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部 4立教大学コミュニティ福祉学部福祉学科 5神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部社会福祉学科 6川崎市こども家庭センター(中央児童相談所) 7特定非営利活動法人メンタルケア協議会 8明治大学サービス創新研究所 9昭和大学医学部精神医学講座

ページ範囲:P.1873 - P.1882

文献概要

抄録 この度,「精神的不調を持つ方のためのリカバリーワークブック」を作成し,デイケアにおいて,これを用いた介入プログラムを実践した。診療録およびスタッフ会議録への後ろ向き調査から,支援におけるワークブックの必要性や使い勝手などについて検討した。その結果,このプログラムは治療適用範囲が広く,満足度が高く,難易度は比較的低かった。こうした介入プログラムを繰り返し実施していくためには,専門職であれば誰もが使うことができる簡易ツールが必要となり,リカバリーワークブックは,それを可能としてくれるものであった。一方,ワークブックの作成や修正には,経験値と知識を持った専門職同士による繰り返しのディスカッションに加え,当事者との共同創造が重要であることが示唆された。今後は専門職と当事者との共同創造によるワークブックを用いた実践が拡がることに期待したい。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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