icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学63巻2号

2021年02月発行

文献概要

特集 いじめと精神医学

日本における「いじめ」概念・定義の歴史的変遷と現状

著者: 桝屋二郎1 井上猛1

所属機関: 1東京医科大学精神医学分野

ページ範囲:P.157 - P.164

文献購入ページに移動
抄録 日本における「いじめ」概念・定義の歴史的変遷と現状を概説した。日本においては,いじめや嫌がらせ,ハラスメントの認知件数や相談件数は学校でも職場でも増加の一途をたどっている。1986年より国による学校でのいじめ実態調査が開始されたが,いじめ事例の見落としと恣意的除外が相次ぎ,批判や議論が起こって,いじめの概念と定義は拡大を遂げてきた。2011年の大津市におけるいじめ自殺事件は社会問題化し,2013年の「いじめ防止対策推進法」成立に繋がった。本法では,学校におけるいじめ定義や予防,対策について法的に規定されている。職場では,いじめ全体を包括する施策はいまだないものの,いくつかのハラスメントが各所管の法律などにて定義付けされ,予防や対策がうたわれている。いじめ被害は精神障害の誘因となったり,自殺の直接・間接の原因となり得るため,社会全体で予防と早期発見に努めなければならない。

参考文献

1)文部科学省:令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400304&tstat=000001112655&cycle=0&tclass1=000001145946&tclass2=000001145947&tclass3=000001145949 (2020年12月1日閲覧)
2)加藤弘通,太田正義,水野君平:いじめ被害の実態と教師への援助要請—通常学級と特別支援学級の双方に注目して.子ども発達臨床研究 8:1-12, 2016
3)国立教育政策研究所:いじめ追跡調査 2013-2015.生徒指導・進路指導研究センター,2016
4)厚生労働省:平成28年度厚生労働省委託事業職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書. https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11208000-Roudoukijunkyoku-Kinroushaseikatsuka/0000164173.pdf (2020年12月1日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?