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文献詳細

雑誌文献

精神医学63巻2号

2021年02月発行

文献概要

特集 いじめと精神医学

いじめ被害を受けた児童思春期の子どもへのケア

著者: 八木淳子12

所属機関: 1岩手医科大学医学部神経精神科学講座 2いわてこどもケアセンター

ページ範囲:P.219 - P.227

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抄録 いじめは,強者が弱者を一方的に支配する不均衡な構造を持ち,被害者の心身を深く傷つけ,その影響は生涯にわたり続くこともある。いじめが被害者にもたらすさまざまな影響を理解し,トラウマインフォームドの視点でいじめの早期発見と被害児の保護,適切なケアと予防対策に取り組み,社会総がかりでいじめ問題に向き合うことが求められる。被害者のケアにおいては,いじめの構造と被害者の心理行動特性を理解し,トラウマ反応に対する適切な働きかけを行って,被害者の再トラウマ化を防ぐことが肝要である。保護された環境のもとで,心理教育や自己対処スキルの獲得によって被害者が自己効力感を取り戻し,否定的自己観や非機能的認知が修正され,心身の健康を取り戻していけるようなケアが展開されることが望まれる。

参考文献

1)野坂祐子:トラウマインフォームドケア—問題行動を捉えなおす援助の視点.日本評論社,2019
2)重村淳,野村総一郎:ハラスメントとしての職場いじめ その現状と課題.トラウマティック・ストレス 5:124-132, 2007
3)片岡理恵子:基礎から学ぶ「スポーツと法」(No.53),スポーツ界における「いじめ」について.Sportsmedicine 26:32-35, 2014
4)齊藤万比古:〔増補〕不登校の児童・思春期精神医学,金剛出版,pp215-226, 2016
5)本間友巳:現代を生きる子どもたち—小児科医に求められる対応—子どもをとりまく社会的現象,行動上の問題とその対応「いじめ,いやがらせ」.小児内科 43:889-892, 2011
6)キャロル・グレイ,服巻智子訳:発達障害といじめ いじめに立ち向かう10の解決策.クリエイツかもがわ,2008
7)J・A・コーエン,A・P・マナリーノ,E・デブリンジャー著,白川美也子,菱川愛,冨永良喜監訳:子どものトラウマと悲嘆の治療—トラウマ・フォーカスト認知行動療法マニュアル.金剛出版,2014
8)三上克央,渡邉己弦:若年者の自殺企図の臨床的特徴.児童青年精神医学とその近接領域 59:387-391, 2018
9)文部科学省:いじめの防止等のための基本的な方針.平成25年10月11日文部科学大臣決定(最終改定 平成29年3月14日) https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/06/26/1400030_007.pdf (2020年10月30日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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