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文献詳細

雑誌文献

精神医学63巻5号

2021年05月発行

増大号特集 精神科クリニカル・パール—先達に学ぶ

第7章 不安症・強迫症・身体症状症診療の先達

神経症診療半世紀

著者: 高橋徹1

所属機関: 1国土交通省本省診療所

ページ範囲:P.750 - P.756

文献概要

clinical pearl
・治せなくても自らを慰めることはできる。しかし,一生勉強しなければならない(斎藤十六:卒業生への贐の言葉)。
・人は七情の働きに由って病気になる場合が最も多い。従って世の中には心気病(江戸時代の神経症)を患う人々が多いのであるから,まず心気病であるか否かを診断し,心気病であれば移精変気の方法を行う(今泉玄祐:療治夜話)。
・生体の不思議さは部分が良くなると全体が改善するということがしばしば起こることである。生体は破壊や損傷が進行すると同時に,修復に向かう性質も持っている。精神障害に対する薬物の作用はまさに「部分」に働きかけて回復に向かわせる契機となるものであろう。部分というのが不適切であるなら,作用点と言い換えてもよい(市橋秀夫:処方の哲学)。

参考文献

1)今泉玄祐:療治夜話 初編 移精変気 新彫版.江戸玉山堂,1860(初版は1850.本稿では原典のカナを平仮名に直して紹介した)
2)Takahashi T:A persuasion therapy for panic disorder in old Japanese medical literature. Compr Psychiatry 34:31-35, 1993
3)高橋徹;不安神経症 改訂第2版.金原出版,pp187-190, 1989
4)井上ひさし:恐怖症者の自己形成史.世界(7号):128-136, 1977
5)市橋秀夫:処方の哲学.Eureka(創刊号):53-54, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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