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特集 認知症診療における精神科医の役割を再考する
重度認知症患者デイケアにおける精神科診療
著者: 玉井顯1 寺川智浩1
所属機関: 1医療法人敦賀温泉病院
ページ範囲:P.1197 - P.1204
文献購入ページに移動抄録 重度認知症患者デイケアでの精神科診療の特徴は,1つには,より生活レベルに近い場面(送迎中,食事中,レクリエーション中などを含むADLや人間関係)すべてが診療に通じ,観察,診察,治療,予防ができる点である。2つ目は,多くの専門職でより総合的に一人の患者をチームとして診ることができる点である。患者ばかりでなく家族のカウンセリングも重要である。患者家族やスタッフが認知症の知識,理解を得て,対応の仕方を習得することによりBPSDの程度も軽減し,新たなBPSDの予防にも繋がる。また,家族のストレス度を知ることによって,虐待を未然に防ぐことが可能となる。
重度認知症患者デイケアは,チームとして患者・家族と向き合い伴走する医療である。さらには,意思決定能力低下が進む前に,早期から将来に備える緩和ケア的アプローチも重要である。
重度認知症患者デイケアは,チームとして患者・家族と向き合い伴走する医療である。さらには,意思決定能力低下が進む前に,早期から将来に備える緩和ケア的アプローチも重要である。
参考文献
1)公益社団法人日本精神科病院協会:認知症重症化予防(三次予防)に関する調査研究事業報告書.2021
2)玉井顯,小野寿之,玉井譲,他:脳機能評価バッテリーBrain function battery(BFB)の作成—信頼性・妥当性の検討.北陸神経精神医学雑誌 17:37-48, 2003
3)NPO法人地域ケア政策ネットワーク全国キャラバン・メイト連絡協議会:認知症サポーター育成ステップアップ講座用テキスト.2019
4)玉井顯:精神病院における認知症の緩和ケア.日本精神科病院協会雑誌 37:51-56, 2018
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