icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学63巻8号

2021年08月発行

文献概要

特集 認知症診療における精神科医の役割を再考する

BPSDに対する精神科での入院治療

著者: 繁信和恵1

所属機関: 1公益財団法人浅香山病院精神科・認知症疾患医療センター

ページ範囲:P.1205 - P.1212

文献購入ページに移動
抄録 認知症のBPSDに対する入院治療は,入院期間の長さや,身体拘束,鎮静目的で向精神薬が使用される点などから,まだなお一般社会から批判を浴びることが多い。しかし精神科におけるBPSDの入院治療も多くの知見が積み重ねられてきた。BPSDの精神科での入院治療も地域包括ケアシステムの一翼を担う重要な社会資源であると考える。いったん増悪したBPSDを多職種で集中的に治療し,可能な限り速やかに生活の場に戻ることを目的とすべきである。ここでは当院が認知症治療病棟から認知症に特化した精神科急性期治療病棟への移行を実現するために行ってきた,暴力を受けることに対する予防教育プログラムの作成,クリニカルパスの導入,退院支援などを紹介する。

参考文献

1)厚生労働省社会・援護局保健福祉部精神・障害保険課:精神疾患を有する外来患者数の推移(疾患別内訳)(資料:厚生労働省「患者調査」より作成).第1回 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会 資料2精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築について.2020年3月18日 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000607970.pdf(2021年5月12日閲覧)
2)厚生労働省:精神科病床の認知症入院患者(病棟種類別).「精神科病床の利用状況に関する調査」(平成19年年度厚生科研「精神科医療の質的実態把握と最適化に関する総合研究」分担研究)第5回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム資料2 精神科病床における認知症入院患者の状況について.p12,2010年9月2日 https://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000r3oa-att/2r9852000000r3ux.pdf(2021年5月12日閲覧)
3)みずほ情報総研株式会社:平成27年度障害者支援状況等調査研究事業 報告書「精神科病院長期入院患者の状態像及び支援方策等に関する実態調査」.2016年3月 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000130379.pdf(2021年5月12日閲覧)
4)矢山壮,繁信和恵,山川みやえ,他:入所施設の認知症の行動心理学的徴候(BPSD)で入院を依頼する要因の実態調査.老年精神医学雑誌 22:1413-1421, 2011
5)保住亜沙美,互健二,品川俊一郎,他:どのようなBPSDを有する患者が精神科病院での入院治療に至りやすいのか.老年精神医学雑誌 31:1058-1065, 2020
6)日本神経学会監修,「認知症疾患診療ガイドライン」作成委員会編:第3章治療A.治療総論CQ3A-2認知症の治療の際には薬物療法・非薬物療法・ケアをどのように施行するか.認知症疾患診療ガイドライン2017.医学書院,pp56-58,2017
7)国本京美,東剛,大谷智子,他:認知症病棟における暴力防止のための認知症ケア教育プログラム.第20回日本認知症ケア学会大会抄録集,p95, 2019
8)桑木智美,三好豊子,田中恵美,他:認知症のクリニカルパスの開発:他職種チームで質の高いケアの標準化と退院後のケアの継続を目指す.師長主任業務実践 390:9-16, 2013
9)山川みやえ,九津見雅美,桑木智美,他:認知症治療病棟から長期ケア施設への円滑な継続ケアのために必要な退院時の情報.日本認知症ケア学会誌 15:480-490, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?