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文献詳細

雑誌文献

精神医学63巻9号

2021年09月発行

特集 産業精神保健の現状と課題

労災保険制度における精神科治療

著者: 黒木宣夫1

所属機関: 1勝田台メディカルクリニック

ページ範囲:P.1321 - P.1329

文献概要

抄録 精神障害の労災請求件数は毎年,過去最高を更新しているが,その中でも「自殺ではない精神障害」の労災認定件数が急増しており,労災保険による精神科治療の在り方,特に労災認定後の長期療養が大きな日常臨床上の課題となっている。労災保険では「治癒」(症状固定)しないかぎり,障害認定しないという基本原則があり,療養・休業補償給付は継続する。そのことも労災認定後の長期療養が増加している要因とも考えられている。本稿では,労災認定基準の動向,労災保険給付,労災認定,治癒(症状固定),労災認定後の長期療養調査(労災疾病臨床研究事業)の報告,さらに労災認定後の長期療養事例を提示し,労災保険による精神科治療の問題点を報告する。

参考文献

1)厚生労働省労働基準局補償課職業病認定対策室:精神障害等の労災補償状況.2020
2)厚生労働省労働基準局補償課職業病認定対策室:心理的負荷による精神障害の認定基準について(基発1226第1号).2011
3)厚生労働省:心理的負荷による精神障害の認定基準の改正について(基発0529第1号).2020
4)厚生労働省:令和2年の労働災害発生状況. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18226.html(2021年6月1日閲覧)
5)厚生労働省:療養補償給付たる療養の給付請求書:様式5号,療養補償給付たる療養の費用請求書:様式7号. https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000505317.pdf(2021年6月1日閲覧)
6)厚生労働省:健康保険から労災保険への切替手続き方法について. https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/var/rev0/0120/3614/kirikae.pdf(2021年6月1日閲覧)
7)厚生労働省:労災年金給付等に係る給付基礎日額の年齢階層別最低・最高限度額. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000053175.pdf(2021年6月1日閲覧)
8)金子仁郎:ストレスによる業務上疾病と災害補償.社会精神医学 10:19〜25, 1987
9)厚生労働省労働基準局:労災補償障害必携,一般財団法人労災サポートセンター,123〜140, 1981
10)小此木啓吾,坂本弘,祖父江逸郎:労災認定と補償.臨床産業医学全書7 産業精神医学.医歯薬出版,pp337-352, 1985
11)厚生労働省:労災保険における傷病が「治ったとき」とは.(リーフレット) http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-6a.pdf(2021年6月1日閲覧)
12)黒木宣夫:神疾患の療養期間及び業務災害に関連した精神科医の役割に関するアンケート調査 日本精神神経学会「精神保健に関する委員会」と日本産業精神保健学会「精神疾患と業務関連性に関する検討委員会」の合同調査.産業精神保健 22:342-347, 2014
13)黒木宣夫:労災疾病臨床研究事業2015年度研究 業務に関連した精神科医療の現状と早期復職に関する研究.1〜35, 2016
14)黒木宣夫:労災疾病臨床研究事業2016年度研究 業務上認定された精神障害者の早期復職・寛解・治療に関する調査・研究.1〜30, 2017
15)黒木宣夫:労災疾病臨床研究事業2017年度研究 業務上認定された精神障害者の早期復職・寛解・治療に関する調査・研究.1〜42, 2018
16)黒木宣夫:労災疾病臨床研究事業2019年度研究 業務上認定された精神障害者の早期復職・寛解・治療に関する調査・研究.1〜23, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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