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文献詳細

雑誌文献

精神医学64巻11号

2022年11月発行

文献概要

特集 ひきこもりの理解と支援

ひきこもり状態の人へのアウトリーチ

著者: 東出香1

所属機関: 1こころとくらしの言の葉クリニック

ページ範囲:P.1523 - P.1529

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抄録 現在,ひきこもり状態の人へ多くの機関でアウトリーチ支援が行われるようになってきているが,自宅への訪問を本人が積極的に望んでいないケースもある。そのため,アウトリーチという侵襲性の高い方法に医師が参画する場合は,特に強制性へ発展しないために,リカバリー志向の支援理念を多職種チームで共有することが肝要である。実践においては,「招かれざる客」であるがゆえのスキルが求められている。フラットな関係での対話による関係作りを最優先とし,関係機関と連携しながら,時には危機にも向き合う。生活の安定とともに見えてきた本人の強みや希望に寄り添い,オーダーメイドの支援を一緒に行う。ひきこもっても大丈夫な街作りのために,質の高いアウトリーチ支援体制の構築が望まれている。

参考文献

1)特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会:当事者が求めるひきこもり支援者養成に関する調査報告書.2021  https://www.khj-h.com/research-study/research-study-2021/[2022年8月3日閲覧]
2)厚生労働省(研究代表者:齊藤万比古):ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン.2010  https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000807675.pdf[2022年8月3日閲覧]
3)Rapp C, Goscha R:The Strength Model. Oxford University Press, New York, 2006(田中英樹監訳:ストレングスモデルー精神障害者のためのケースマネジメント.金剛出版,2008)
4)三品桂子:多職種による重度精神疾患患者への治療介入と生活支援に関する調査研究報告書.2009  https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/cyousajigyou/jiritsushien_project/seika/research_09/dl/result/07-08a.pdf[2022年8月3日閲覧]
5)斎藤環:中高年のひきこもりに対する精神医学的支援について.精神科治療学 35:335-340, 2020
6)オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP):オープンダイアローグ対話実践のガイドラインウェブ版(第1版).  https://www.opendialogue.jp/対話実践のガイドライン/[2022年8月3日閲覧]
7)斎藤環:アウトリーチとオープンダイアローグ.臨床精神医学 46:207-212, 2017
8)伊藤順一郎(監修):地域に頼らない地域精神医療論—精神障害者の生きる力をサポートする.金剛出版,2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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