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文献詳細

雑誌文献

精神医学64巻11号

2022年11月発行

特集 ひきこもりの理解と支援

「ひきこもり」の当事者活動からの報告—ひきこもりパラダイム・シフトのために

著者: 伊藤康貴1

所属機関: 1長崎県立大学地域創造学部

ページ範囲:P.1545 - P.1550

文献概要

抄録 本稿では,私自身の当事者としての経験を踏まえつつ,「ひきこもり」の当事者活動を社会学的にフィールドワーク/当事者研究するなかで見出された「ひきこもり」へのパラダイム・シフトついて述べていく。「ひきこもり」の当事者活動は1990年代後半より草の根で行われてきたものであるが,本稿では,2010年代以降の当事者活動に注目し,それらの活動が「ひきこもり」を社会的な問題として捉える社会運動としての性格を持つものとなっていることを指摘した。そして,そのような社会運動を下支えする認識枠組みとして,障害学で言うところの社会モデル的な考え方が「ひきこもり」においても援用されていること,ゆえに「ひきこもり」について社会的に考えるということは,私たちの生き方を再考させると同時に,私たちの社会のあり方をも考える営みになるということを指摘した。

参考文献

1)伊藤康貴:「ひきこもり当事者」の社会学—当事者研究×生きづらさ×当事者活動.晃洋書房,2022
2)田辺裕:私がひきこもった理由.ブックマン社,2000
3)フリースペースふきのとう:フリースペースふきのとう開所記念・記録集 子どもサミット3・26—不登校を通して思うこと.2004
4)石川良子:ひきこもりの〈ゴール〉—「就労」でもなく「対人関係」でもなく.青弓社,2007
5)勝山実:安心ひきこもりライフ.太田出版,2011
6)伊藤康貴:「ひきこもり当事者」の社会学—当事者研究×生きづらさ×当事者活動.晃洋書房,2022
7)ひきこもり新聞:ウェブ版ひきこもり新聞. http://www.hikikomori-news.com/[2022年8月26日閲覧]
8)ひきポス:ひきポス.https://www.hikipos.info/.[2022年8月26日閲覧]
9)不登校・ひきこもり情報誌「今日も私は生きてます.」編集部:今日も私は生きてます. https://www.facebook.com/kyoumowatashiha/[2022年8月26日閲覧]
10)ひきこもり大学出版チーム編:特別講義「ひきこもり大学」—当事者が伝える「心のトビラ」を開くヒント.潮出版社,2020
11)NPO法人グローバル・シップスこうべ:メンバーの声.  https://www.global-ships.net/voice/[2022年8月26日閲覧]
12)石川准・長瀬修編:障害学への招待—社会,文化,ディスアビリティ.明石書店,1999
13)暴力的「ひきこもり支援」施設問題を考える会:ひきこもり人権宣言.  https://note.com/bouhikimon/n/nbd360e7316d8[2022年8月26日閲覧]

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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