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文献概要
特集 精神神経疾患の治療とQOL
特集にあたって
著者: 栗山健一1
所属機関: 1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
ページ範囲:P.253 - P.253
文献購入ページに移動 精神神経疾患に対する治療効果は,疾患病態に基づく特異的症状評価指標を用いて評価されることが多く,しばしば患者本人の主観評価と乖離する。さらに,疾患特性から病識を得ることが困難である場合や,精神神経疾患自体が改善しても罹病期間の長期化に伴い生じる二次障害が改善しない場合もしばしば認められ,これらも治療効果の主観-客観差を生む要因となる。さらに,人生観や宗教的信念,疾患発症の危険因子となる性格特性や人格傾向なども,治療ゴールを設定する上で混乱因子となり,こうした価値観・特性・傾向自体が二次障害の出現にかかわる場合,治療が奏功しても主観的改善度に十分反映されない場合が少なからず存在する。
近年,心身症や心疾患,膠原病,神経難病などの病態評価において,生活の質(quality of life:QOL)評価が重視されつつある。さらに,抗悪性腫瘍薬や疼痛緩和薬の開発においては,治療効果の評価にQOL指標を導入する機運が高まりつつある。認知症を含む各種精神神経疾患においても,QOLの向上が重大な治療目標であるが,複雑な病態構成要素を勘案すると治療効果の評価に導入する上でさまざまなハードルが存在する。しかしQOLを意識した治療介入は,治療に対する意欲を向上させ,治療アドヒアランスを高める効果が期待できる上,病識獲得にも直接的に寄与することも期待できる。
近年,心身症や心疾患,膠原病,神経難病などの病態評価において,生活の質(quality of life:QOL)評価が重視されつつある。さらに,抗悪性腫瘍薬や疼痛緩和薬の開発においては,治療効果の評価にQOL指標を導入する機運が高まりつつある。認知症を含む各種精神神経疾患においても,QOLの向上が重大な治療目標であるが,複雑な病態構成要素を勘案すると治療効果の評価に導入する上でさまざまなハードルが存在する。しかしQOLを意識した治療介入は,治療に対する意欲を向上させ,治療アドヒアランスを高める効果が期待できる上,病識獲得にも直接的に寄与することも期待できる。
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