文献詳細
文献概要
特集 家族支援を考える
特集にあたって
著者: 金生由紀子1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院こころの発達診療部
ページ範囲:P.379 - P.379
文献購入ページに移動 こころの問題の対応にあたって,患者とともに家族の状態を把握して支援することは重要なはずだが,患者に焦点を当てすぎて家族に関する認識に偏りが生じて対応が不適切になることがあり得る。時には,家族を背景のように捉えたり治療者の役割の分担を期待したりすることがあるかもしれない。しかし,家族は,患者,周囲の人々や関係機関,さらには社会とのかかわりの中でさまざまな困難を体験して,支援を必要としている。しかも家族の対応が患者に影響して悪循環を来し,患者にとっても家族にとってもより困難が大きくなることが少なくないと思われる。そして,家族の中だけで解決を求めてしまうと悪循環からいっそう抜け出しにくくなる。患者のためにも家族のためにも,家族が適切に対応できるように働きかける心理教育が有用であると同時に,家族だけで抱え込むことがないように,家族の困難や苦痛が軽減するようにという配慮が望まれる。
患者は家族をはじめとする環境との相互のやり取りの中で発達してくるものであり,家族についても同様のことが言える。本特集では,周囲の人々から社会までの広がりの中における家族という位置付けを踏まえるとともに,家族としての発達の経過とその節目を意識して家族支援について検討することを目指した。
患者は家族をはじめとする環境との相互のやり取りの中で発達してくるものであり,家族についても同様のことが言える。本特集では,周囲の人々から社会までの広がりの中における家族という位置付けを踏まえるとともに,家族としての発達の経過とその節目を意識して家族支援について検討することを目指した。
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