icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学64巻4号

2022年04月発行

特集 家族支援を考える

認知症高齢者を介護する家族への支援—介護者の主体性に注目して

著者: 今村陽子1

所属機関: 1東京都健康長寿医療センター精神科

ページ範囲:P.399 - P.406

文献概要

抄録 認知症の家族介護は,介護者自身が心理的な動揺の中,進行によって変化していく本人の状態像に合わせた対応が求められる。その上,家族介護者自身のライフイベントや健康問題,経済状況などのさまざまな現実的な問題が重なるため介護の負担は大きく,家族介護者が心身の不調を来す場合がある。認知症の家族支援では,本人と家族介護者両方を支援対象として捉えると同時に,家族介護者は認知症の本人とは別個の存在であり,家族自身が自分の人生を主体的に生きる存在であることを尊重することが必要である。介護への態度は家族ごとに異なるため,家族介護者が主体的に考えて介護できるよう,家族状況をアセスメントしながら情報的サポートと情緒的サポートの両方を提供していくことが重要である。

参考文献

1)厚生労働省:第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf(2022年2月1日閲覧)
2)厚生労働省:令和2年版厚生労働白書—令和時代の社会保障と働き方を考える. https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/19/dl/1-01.pdf(2022年2月1日閲覧)
3)内閣府:令和3年版高齢社会白書. https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/03pdf_index.html(2022年2月1日閲覧)
4)内閣府:平成29年度版高齢社会白書.  https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_3.html(2022年2月1日閲覧)
5)厚生労働省:2019年国民生活基礎調査の概況. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html(2022年2月1日閲覧)
6)総務省統計局:平成29年就業構造基本調査の結果.2017 https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index2.html(2022年2月1日閲覧)
7)黒川由紀子,扇澤史子編:認知症の心理アセスメントはじめの一歩,医学書院,p17, 2018
8)鳥羽研二,許俊鋭監修:見てできる認知症ケア・マネジメント図鑑—認知症ビジュアルガイド,学研メディカル秀潤社,p223, 2021
9)扇澤史子:認知症をかかえる家族へのアプローチ.精神療法 40:662-667, 2014
10)扇澤史子:介護肯定感を通して考える認知症の家族介護.上田諭編:認知症によりそう.こころの科学増刊,日本評論社,pp98-103, 2015
11)高橋正彦:認知症の家族・家族介護者支援とBPSD.認知症ケア事例ジャーナル 11:238-243, 2018
12)松本一生:家族と学ぶ認知症—介護者と支援者のためのガイドブック.金剛出版,p60, 2006
13)松本一生:認知症を介護する家族への心理教育.精神経誌 121:139-144, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら