精神医学64巻5号

2022年05月発行

増大号特集 精神科診療のピットフォール 疾患各論 心的外傷・ストレス関連障害

心的外傷後ストレス障害

著者： 井野敬子¹

所属機関： ¹国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所行動医学研究部

ページ範囲：P.675 - P.680

ピットフォール
・患者が不安定になるのを恐れて治療者がトラウマの話を避けてしまう
・傷ついたこころを何とかしてあげたい一心で，「助かって良かったですね」などと患者の感じ方にそぐわない受け答えをしてしまう
・「対人不信」についての心理教育が十分にされていない
・「怒りのコントロール困難」についての心理教育が十分にされていない
・薬剤の副作用を過覚醒症状と判断してしまう
・出来事基準で吟味せずPTSDの診断をつけてしまう
・隠れたトラウマを見逃してしまう

参考文献

1)外傷ストレス関連障害に関する研究会，金吉晴編：心的トラウマの理解とケア 第2版．じほう，2006

2)American Psychiatric Association：Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth ed. (DSM-5). American Psychiatric Publishing, Washington D.C., 2013(日本精神神経学会日本語版用語監修，髙橋三郎，大野裕監訳：DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル．医学書院，2014)

3)World Health Organization：The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders：Clinical Descriptions and Diagnostic Guidelines. WHO, Geneva, 1992(融道男，中根允文，小見山実他監訳：ICD-10精神および行動の障害—臨床記述と診断ガイドライン 新訂版．医学書院，2005)

4)髙橋三郎監修，北村俊則，岡野禎治監訳：精神科診断面接マニュアル(SCID)—使用の手引き・テスト用紙．日本評論社，2003

5)飛鳥井望：CAPS(PTSD臨床診断面接尺度)日本語版の尺度特性．日本トラウマティック・ストレス学会，2003