精神医学64巻5号

2022年05月発行

増大号特集 精神科診療のピットフォール 疾患各論 物質関連・嗜癖性障害

アルコール使用障害

著者： 真栄里仁¹ 樋口進¹

所属機関： ¹独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター

ページ範囲：P.773 - P.777

ピットフォール
・依存症か否か，安易に決めつけてしまう
・治療目標を断酒のみと設定してしまう
・断酒を拒否する患者の表面的な言動に囚われてしまう
・同意がないと治療できないと考えてしまう
・底つきしないと酒を止めないと考えてしまう
・抗酒薬が絶対と考えてしまう
・医療者は依存症者の上に立ち，回復に導く存在と認識してしまう

参考文献

1)尾﨑米厚，金城文：アルコールの疫学—わが国の飲酒行動の実態とアルコール関連問題による社会的損失のインパクト．医学のあゆみ 274：34-39, 2020

2)厚生労働省：アルコール使用(飲酒)による精神及び行動の障害．平成29年厚生労働省患者調査．　　https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1＆layout=datalist＆toukei=00450022＆tstat=000001031167＆cycle=7＆tclass1=000001124800＆tclass2=000001124801＆stat_infid=000031790685＆tclass3val=0(2022年3月1日閲覧)

3)American Psychiatric Association：Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth ed. (DSM-5). American Psychiatric Publishing, Washington D.C., 2013(日本精神神経学会日本語版用語監修，髙橋三郎，大野裕監訳：DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル．医学書院，2014)

4)Wodak AD, Saunders JB, Ewusi-Mensah I, et al：Severity of alcohol dependence in patients with alcoholic liver disease. Br Med J(Clin Res Ed) 287：1420-1422, 1982

5)樋口進：Ⅲ　治療総論．厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業(障害者政策総合研究事業(精神障害分野))アルコール依存症に対する総合的な医療の提供に関する研究．平成28年度総括研究報告書(研究代表者：樋口進)．pp255-256, 2017

6)真栄里仁，杠岳文，樋口進：減酒支援のポイント．診断と治療 107：1105-1111, 2019

7)内閣府政策統括官(共生社会政策担当)，財団法人日本自動車研究所：平成21年度常習飲酒運転者の飲酒運転行動抑止に関する調査研究報告書．pp32-35, 2010

8)斎藤学：アルコール依存症者の回復過程．アルコール依存症の精神病理．pp196-198，金剛出版，1985

9)Miller WR, Meyers RK, Tonigan JS：Engaging the unmotivated treatment for alcohol problems：a comparison of three intervention strategies. J Consult Clin Psychol 67：688-697, 1999

10)信田さよ子：アディクションと精神医療．松本俊彦編：“やさしいみんなのアディクション．臨床心理学 8(増刊)：6-9, 2016

11)Skinner MD, Lahmek P, Pham H, et al：Disulfiram efficacy in the treatment of alcohol dependence：a meta-analysis. PLoS One 9：e87366, 2014

12)大塚製薬株式会社：レグテクト(医薬品インタビューフォーム)第2版(2020.3)　　https://www.otsuka-elibrary.jp/pdf_viewer/index.html?f=/file/1077/SL1_if.pdf#page=1(2022年3月1日閲覧)

13)上岡陽江：その後の不自由．松本俊彦編：“やさしいみんなのアディクション．臨床心理学 8(増刊)：174-179, 2016