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文献詳細

雑誌文献

精神医学64巻6号

2022年06月発行

文献概要

特集 認知症診療の新潮流—近未来の認知症診療に向けて

自動運転時代の認知症の人の自動車の利用

著者: 上村直人1

所属機関: 1高知大学医学部神経精神科学講座

ページ範囲:P.909 - P.918

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抄録 認知症の人の運転は2002年よりわが国においてはすでに実質禁止され,以降わが国では高齢者の事故対策を中心にさまざまな法的対応が整備されている。同時に近年自動運転や安全運転サポート車(サポカー)など科学技術の発展によりさまざまな機器支援の開発がなされ,2022年度からは事故経験者では疾患に関係なく,実車評価が導入されようとしている。一方,認知症の人や認知機能低下を来している人でも技術革新により自動運転が可能となり得る時代となりつつある。しかしながら認知症あるいは認知機能低下と自動車運転,事故予測,事故予防の問題は,医学的検討という観点からは十分な検討がなされているとは言いがたく,認知症という状態像で運転の可否が判断されているのが現状であるが,今後の著しい技術革新により自動運転の時代を迎える近未来が実現しそうである。そこで今回,認知症や認知機能低下を来した人の自動運転を実現するために克服すべき課題や,健常高齢者への応用の可能性への期待と課題について述べた。

参考文献

1)警察庁:警察白書 統計資料. https://www.npa.go.jp/hakusyo/h30/data.html(2022年4月1日閲覧)
2)警察庁:「高齢運転者交通事故防止対策に関する提言」の具体化に向けた調査研究に係る認知機能と安全運転の関係に関する調査研究.2018 https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/koureiunten/menkyoseido-bunkakai/cognitivef/cognitivef_report. pdf(2022年4月1日閲覧)
3)全日本交通安全協会:道路交通法の改正ポイント. https://www.jtsa.or.jp/new/koutsuhou-kaisei.html(2022年4月1日閲覧)
4)高齢者安全運転支援研究会監修:75歳以上の免許更新が変わる.
5)警察庁:2021年3月改正道路交通法高齢運転者対策. https://www.npa.go.jp/koutsuu/menkyo/kaisei_doukouhou_r02/final_report.pdf(2022年4月1日閲覧)
6)国土交通省:令和元年版交通政策白書.2019 https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_fr_000098.html(2022年4月1日閲覧)
7)上村直人,惣田聡子,岩崎美穂,他:塩酸ドネペジル服用とアルツハイマー病患者の自動車運転.老年精神医学雑誌 17(増刊-1):171, 2006
8)Shimada H, Tsutsumimoto K, Lee S, et al:Driving continuity in cognitively impaired older drivers. Geriatr Gerontol Int 16:508-514, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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