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文献詳細

雑誌文献

精神医学64巻7号

2022年07月発行

文献概要

特集 Withコロナ時代の精神医学教育の進歩—卒前教育から生涯教育まで

精神医学教育の役割と変化

著者: 村松太郎1 三村將1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.949 - P.956

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抄録 脳科学の進歩,医学教育国際標準化への圧力,IT化への流れ—精神医学はこれらを追い風として急速に発展を遂げつつある。しかしながら精神医学には,他の医学領域で汎用されている科学的手法が適用困難な伝統芸能とでもいうべき領域があり,そこにはむしろ逆風が吹いている。臨床の叡智が蓄積されているこの領域の発展も,当事者の恩恵となる精神医療のためには必須である。そしてそこには真に新しい地平を切り開く斬新な方法論のヒントがあり,それを掴んだとき精神医学は,他の医学を先導する役割を持ち得るであろう。科学性を追求しつつも,いまだ伝統芸能の要素を残すという精神医学の限界と,未来に開かれた可能性を伝えることが,これからの精神医学教育には強く求められる。

参考文献

1)中安信夫:かつての精神科臨床教育はどのようなものだったのか.精神科治療学 35:1253-1260, 2020
2)保崎秀夫(編著):新精神医学.文光堂,1983
3)A decade for psychiatric disorders. Nature 463:9, 2010
4)三村將:Plus Ultra.精神医学 53:1038-1039, 2011
5)西村勝治:医学教育の国際認証評価.精神科 33:101-104, 2018
6)門川俊明,天谷雅行:慶應義塾大学でのCOVID-19パンデミックにおけるオンライン教育の実践.あいみっく 42:64-67, 2021
7)精神医学講座担当者会議:新型コロナウイルス感染症の流行が大学精神医学教室の診療と教育に与えた影響—精神医学講座担当者会議アンケート結果に基づく資料.精神経誌 123:715-720, 2021
8)門川俊明:オンラインでの総括試験.医学のあゆみ 279:165-168, 2021
9)高宮彰紘,田澤雄基,工藤弘毅,他:精神科領域における人工知能技術の応用.Brain Nerve 71:15-23, 2019
10)村松太郎:統合失調症当事者の症状論.中外医学社,2021
11)兼本浩祐:心因・内因・外因—Schneiderの太線を我々はかくもナイーブに飛び越えて良いのか.臨床精神病理 134:207-214, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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