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文献詳細

雑誌文献

精神医学64巻7号

2022年07月発行

文献概要

短報

二人組精神病(感応精神病)の幼児例

著者: 水馬裕子1 神崎洸一1 田宮聡1

所属機関: 1呉みどりケ丘病院

ページ範囲:P.1053 - P.1056

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抄録 統合失調症の母が精神病症状を悪化させたのを機に,母の妄想に影響された二人組精神病の幼児例を報告した。患児が5歳になる頃に母の妄想が顕在化し,妄想に左右され母子だけでひきこもるという母子密着状態となった。母子の生活環境を分けた後,患児の妄想的確信は徐々に消退した。母が寛解後,母子は徐々に良好な関係を再構築したが,その回復過程は,マーラーの分離個体化理論に沿った情緒的成長過程の繰り返しであった。

参考文献

1)井上令一(監修),四宮滋子,田宮聡(監訳):カプラン臨床精神医学テキスト第3版—DSM-5診断基準の臨床への展開.メディカル・サイエンス・インターナショナル,2016
2)髙橋三郎,大野裕(監訳):DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014
3)加藤正明(編者代表):縮刷版 精神医学事典.弘文堂,2001
4)Kashiwase H, Kato M:Folie à deux in Japan-analysis of 97 cases in the Japanese literature. Acta Psychiatrica Scandinavica 96:231-234, 1997
5)Greener M:Folie á deux:time to rethink ‘shared psychosis'?. Progress in Neurology and Psychiatry 11:21-24, 2007
6)Vigo L, Ilzarbe D, Beaza I, et al:Shared psychotic disorder in children and young people:a systematic review. Eur Child Adolesc Psychiatry 28:1555-1566, 2018
7)M.S. マーラー/高橋雅士,織田正美,浜畑紀(訳):乳幼児の心理的誕生—母子共生と個体化.黎明書房,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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