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特集 ジェンダーをめぐる諸課題を理解する
文献概要
抄録 出生時に割り当てられた性別と性自認との組み合わせにおける少数派をジェンダー・マイノリティと呼び,性自認と性的指向との組み合わせの少数派をセクシュアル・マイノリティと呼ぶ。両者は性的なあり方についてのマイノリティでありLGBTQ+と総称される。いくつかの日本における研究によると,トランスジェンダーでは自殺関連行動やメンタルヘルスの悪化が多くみられるようである。医療機関を受診したトランスジェンダーでは,トランス男性よりもトランス女性のほうがメンタルヘルスが悪化している。米国心理学会は2015年に,トランスジェンダーとの心理臨床実践についてのガイドラインを発表しており,ジェンダーの二分法以外のあり方,他のマイノリティ性との併存,小児期・青年期・老年期といった発達段階との関連,パートナーや性的関係,家族形成・子育てといったトピックについて網羅されている。
参考文献
1)石丸径一郎:LGBTQに関する医療の歴史.吉田絵理子(編):医療者のためのLGBTQ講座.南山堂,pp11-14, 2022
2)針間克己,石丸径一郎:性同一性障害と自殺.精神科治療学 25:247-251, 2010
3)Zhou Y, Furutani M, Athurupana R, et al:Relation Between Identity Disclosure to Family Members and Mental Health in Japanese Transgender People. Acta Med Okayama 75:611-623, 2021
4)日高庸晴:LGBTQの健康課題—メンタルヘルスと受診状況.吉田絵理子(編):医療者のためのLGBTQ講座.南山堂,pp32-39, 2022
5)American Psychological Association:Guidelines for psychological practice with transgender and gender nonconforming people. Am Psychol 70:832-864, 2015
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