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特集 ジェンダーをめぐる諸課題を理解する
性別不合のホルモン療法
著者: 中塚幹也12
所属機関: 1岡山大学大学院保健学研究科 2岡山大学ジェンダークリニック
ページ範囲:P.1135 - P.1141
文献購入ページに移動抄録 トランス女性ではエストロゲン製剤が使用され,陰茎の勃起抑制,乳房の腫大などの体型の女性化などがみられるが,ひげの減少や声の高音化は限定的であるため脱毛やボイストレーニングが行われる。トランス男性ではアンドロゲン製剤が使用され,月経は停止,ひげや体毛は増加,身体は筋肉質となり,陰核は腫大し,声は低音となるが,乳房の縮小は限定的であるため乳房切除術が行われる。
不可逆的効果や副作用もあるため,ジェンダークリニックなどでの適切な診断後,血液検査などによりホルモン療法の可否を確認してから開始する。また,血栓症などの副作用の予防のため,喫煙者には禁煙,肥満者には体重管理を指導する。
思春期に性別違和感が増強する場合には,GnRHアゴニストなどによる二次性徴抑制療法が行われる。専門的な観察を続け,性別不合の診断が確定されれば,エストロゲン製剤,アンドロゲン製剤の投与に移行する。
不可逆的効果や副作用もあるため,ジェンダークリニックなどでの適切な診断後,血液検査などによりホルモン療法の可否を確認してから開始する。また,血栓症などの副作用の予防のため,喫煙者には禁煙,肥満者には体重管理を指導する。
思春期に性別違和感が増強する場合には,GnRHアゴニストなどによる二次性徴抑制療法が行われる。専門的な観察を続け,性別不合の診断が確定されれば,エストロゲン製剤,アンドロゲン製剤の投与に移行する。
参考文献
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