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特集 ジェンダーをめぐる諸課題を理解する
性的マイノリティに関する法政策の現状と課題
著者: 谷口洋幸1
所属機関: 1青山学院大学法学部ヒューマンライツ学科
ページ範囲:P.1149 - P.1155
文献購入ページに移動抄録 性的マイノリティに関連する世界の法政策を比較すると,他国に比べて日本における法整備の進展が遅いことは否めない事実である。性別記載の変更については,2003年のいわゆる性同一性障害者特例法の制定により一定の解決は図られているものの,性自認の尊重という基本理念から再検討の余地がある。同性同士のパートナー関係の法的保障については,自治体によるパートナーシップ認定制度の広がりや,法的保障の不備に関する2021年の札幌地裁による違憲判断などの進展はみられるが,国レベルの議論は遅々として進んでいない。また,性的指向・性自認に基づく差別の解消について,2021年のLGBT理解増進法案の頓挫は記憶に新しく,各省庁や自治体における継続的で地道な取り組みに期待が寄せられているところである。
参考文献
1)谷口洋幸:性的マイノリティと国際人権法.日本加除出版,2022
2)石田仁(編著):性同一性障害—ジェンダー・医療・特例法.御茶の水書房,2008
3)棚村政行,中川重徳(編著):同性パートナーシップ制度.日本加除出版,2016
4)LGBT法連合会(編):「LGBT」差別禁止の法制度ってなんだろう?.かもがわ出版,2016
5)谷口洋幸(編):LGBTをめぐる法と社会.日本加除出版,2019
6)二宮周平(編):性のあり方の多様性.日本評論社,2017
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