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文献詳細

雑誌文献

精神医学64巻9号

2022年09月発行

特集 学校で精神疾患を「自分のこと」として教育する

学校における精神疾患教育にきょうだいが望むこと—兄弟姉妹の立場から

著者: 木村諭志12

所属機関: 1東京兄弟姉妹の会 2埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科

ページ範囲:P.1259 - P.1266

文献概要

抄録 学校における精神疾患教育にきょうだいが望むことは,精神疾患を持つ当事者や家族を孤立させず,既に孤独に陥っている当事者や家族を救済することである。特にきょうだいは,思春期が精神疾患の好発時期であり,同世代を生きるきょうだいは生涯を通して病気のきょうだいとかかわることになる。社会のスティグマ(差別や偏見)ときょうだい自身が抱くセルフスティグマ(自分への偏見)の解消がなければ,きょうだいはその後の人生においても孤独を抱える。思春期の生徒が,学校における精神疾患教育を通して自らのことのように考えられること,そこに携わる学校関係者がSOSを出せないきょうだいに気づく力を得ることで,きょうだいが社会とつながり続けることができる。子どもの時からの孤独は,人生に大きな影響を与える。同世代を生きるきょうだいが,人生の選択肢を失わず,きょうだいの人生を歩めるよう教育していく必要がある。

参考文献

1)仲田海人,木村諭志:ヤングでは終わらないヤングケアラー—きょうだいヤングケアラーのライフステージと葛藤.クリエイツかもがわ,pp59-63, 2021
2)厚生労働省:ヤングケアラーについて. https://www.mhlw.go.jp/young-carer/[2022年7月15日閲覧]
3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社:2021年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書. https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210412_7.pdf[2022年7月15日閲覧]
4)株式会社日本総合研究所:2022年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書.  https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/2021_13332.pdf[2022年7月15日閲覧]
5)横山惠子:精神障がい者のきょうだいの体験と「家族学習会」への取り組み.第49回日本看護学会論文集.精神看護pp67-70, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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