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特集 精神医学における臨床研究のすゝめ—わが国で行われたさまざまな精神医学臨床研究を参考にして
保険収載を目指す臨床研究のポイント—治療抵抗性うつ病に対する経頭蓋磁気刺激療法のエキスパートとしての経験を踏まえて
著者: 野田賀大1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
ページ範囲:P.103 - P.110
文献購入ページに移動治療抵抗性うつ病に対する経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation:TMS)療法は,過去四半世紀にわたる一連の広範な臨床研究を経て,現在欧米を中心に臨床現場においても幅広く使用されている。しかし,TMS療法を臨床的にどのように適応するべきかについての知識や経験は,精神科専門医の間でも大きなギャップがある。さらに,精神科分野では他診療科と異なり,画像診断や電気けいれん療法以外の場面では医療機器をほとんど使用しない診療科であることもあり,医療機器に関する薬事承認や保険収載にまつわることで普段頭を悩ませることもないのではないかと考えられる。これまでの精神科は十年一日のごとくであったが,今後は冒頭で述べたTMSをはじめとしたニューロモデュレーション技術が診断や治療戦略にとって重要な位置を占めてくる可能性が出てきた。そういった意味において,今後,特に医師研究者にとっては,さまざまな医療機器を駆使した新規医療技術開発は,精神医学や精神科医療の発展にとって,切っても切り離せない営みになってくる可能性が高い。本稿では,筆者が専門とするTMSニューロモデュレーション技術の進展と表裏一体である当該技術のレギュレーションに関するポイントについて,筆者自身がこれまで経験してきたことも踏まえ,概説したいと思う。
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