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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻10号

2023年10月発行

特集 DSM-5からDSM-5-TRへ—何が変わったのか

抑うつ症群—DSM-5からDSM-5-TRへの変更点

著者: 竹林実1

所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座

ページ範囲:P.1364 - P.1369

文献概要

抄録
 抑うつ症群は,悲しみあるいは易怒的な気分が存在し,その人の機能において,身体・認知が有意な変化を伴う疾患である。双極症に近いものから重篤気分調節症,うつ病,持続性抑うつ症,月経前不快気分障害,物質・医薬品誘発性抑うつ症,他の医学的状態による抑うつ症,他の特定される抑うつ症,特定不能の抑うつ症,特定用語に分けられており,変更はない。全体的には,有病率,遺伝率,環境要因,特に幼少時トラウマ・性別・差別に関する内容のアップデートが行われている。うつ病に関しては双極症の鑑別,他の医学的要因として膵臓がんが追加されている。さらに,うつ病の軽症エピソード,死別反応,身体疾患罹患による意気消沈,マタニティブルーなど,疾患と正常の境界に位置する用語について,注意が払われているのも大きな特徴と言える。

参考文献

1)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed, Text Revision(DSM-5-TR). American Psychiatric Publishing, Washington DC, 2022[日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳),染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,他(訳):DSM-5-TR精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2023]
2)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed(DSM-5). American Psychiatric Publishing, Washington DC, 2013[日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳):DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014]

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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