文献詳細
特集 DSM-5からDSM-5-TRへ—何が変わったのか
文献概要
抄録
DSM-5-TR(2022年)の序文では,その主な改訂点を,①有病率,②危険要因と予後要因,③文化に関連する診断的事項,④性別に関連する診断的事項,⑤自殺念慮または自殺行動との関連,そして⑥併存症,の6項目としている。
本稿では,分離不安症,場面緘黙,限局性恐怖症(SP),社交不安症,パニック症(PD),パニック発作,広場恐怖症,全般不安症(GAD)の8つの不安症群(ADs)を代表する疾患・特定用語の改訂点をまとめた。
今回のADsの改訂で最重要ポイントは,章の初めに追記された以下の内容である。「不安をもつ人は,不安をもたない人に比べて,自殺念慮をもち,自殺を試み,自殺によって死亡する可能性が高いかもしれない。PD,GAD,SPは,自殺念慮から自殺企図への移行に最も強く関連するADsであると同定されている」
DSM-5(2013年)から9年間で新たに得られた情報の質・量は各ADによって異なるものの,改訂内容は臨床上非常に有用であり,実臨床での応用を期待したい。
DSM-5-TR(2022年)の序文では,その主な改訂点を,①有病率,②危険要因と予後要因,③文化に関連する診断的事項,④性別に関連する診断的事項,⑤自殺念慮または自殺行動との関連,そして⑥併存症,の6項目としている。
本稿では,分離不安症,場面緘黙,限局性恐怖症(SP),社交不安症,パニック症(PD),パニック発作,広場恐怖症,全般不安症(GAD)の8つの不安症群(ADs)を代表する疾患・特定用語の改訂点をまとめた。
今回のADsの改訂で最重要ポイントは,章の初めに追記された以下の内容である。「不安をもつ人は,不安をもたない人に比べて,自殺念慮をもち,自殺を試み,自殺によって死亡する可能性が高いかもしれない。PD,GAD,SPは,自殺念慮から自殺企図への移行に最も強く関連するADsであると同定されている」
DSM-5(2013年)から9年間で新たに得られた情報の質・量は各ADによって異なるものの,改訂内容は臨床上非常に有用であり,実臨床での応用を期待したい。
参考文献
1)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed(DSM-5). American Psychiatric Publishing, Washington DC, 2013[日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳):DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014]
2)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed, Text Revision(DSM-5-TR). American Psychiatric Publishing, Washington DC, 2022[日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳),染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,他(訳):DSM-5-TR精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2023]
掲載誌情報