文献詳細
文献概要
特集 DSM-5からDSM-5-TRへ—何が変わったのか
性機能不全群,性別違和—DSM-5からDSM-5-TRへの変更点
著者: 康純1
所属機関: 1関西大学保健管理センター
ページ範囲:P.1416 - P.1422
文献購入ページに移動抄録
DSM-5が2013年に発行されてから約10年を経て2022年にDSM-5-TRが発表された。DSM-ⅣからDSM-5までは約20年の間隔があり,診断基準自体を含めてかなり大きな変更がなされたが,今回はテキスト改訂版であり,診断基準自体に大きな変更はなされていない。しかし,性機能不全群と性別違和という性を扱う分野においては,性の多様性を精神医学の中でどう扱うのかという本質的な部分を含めて大きな変化があった。性機能不全群においては多様な性を表現する人たちの性機能の問題について言及するようになった。性別違和に関しては,ICD-11が診断名を性同一性障害から性別不合に変更して,精神疾患の枠組みから外すという非常に大きな変化があったことや,子どものデータが集積してきたことから,新しい用語や知見を反映するような変更が行われた。
DSM-5が2013年に発行されてから約10年を経て2022年にDSM-5-TRが発表された。DSM-ⅣからDSM-5までは約20年の間隔があり,診断基準自体を含めてかなり大きな変更がなされたが,今回はテキスト改訂版であり,診断基準自体に大きな変更はなされていない。しかし,性機能不全群と性別違和という性を扱う分野においては,性の多様性を精神医学の中でどう扱うのかという本質的な部分を含めて大きな変化があった。性機能不全群においては多様な性を表現する人たちの性機能の問題について言及するようになった。性別違和に関しては,ICD-11が診断名を性同一性障害から性別不合に変更して,精神疾患の枠組みから外すという非常に大きな変化があったことや,子どものデータが集積してきたことから,新しい用語や知見を反映するような変更が行われた。
参考文献
1)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th ed(DSM-Ⅳ). American Psychiatric Publishing, Washington DC, 1994[髙橋三郎,大野裕,染矢俊幸(訳):DSM-Ⅳ精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,1996)
2)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed(DSM-5). American Psychiatric Publishing, Washington DC, 2013[日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳):DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014]
3)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed, Text Revision(DSM-5-TR). American Psychiatric Publishing, Washington DC, 2022[日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳),染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,他(訳):DSM-5-TR精神疾患の診断・統計マニュアル,新訂版.医学書院,2023]
4)World Health Organization:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems 11th Revision, 2018 https://icd.who.int/(2023年7月3日閲覧)
5)World Health Organization:The ICD-10 Classification of Mental and Behavioral Disorders:Clinical Descriptions and Diagnostic Guidelines. WHO, Geneva, 1992[融道男,中根允文,小見山実,他(監訳):ICD-10精神および行動の障害—臨床記述と診断ガイドライン,新訂版.医学書院,2005]
掲載誌情報