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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻10号

2023年10月発行

文献概要

特集 DSM-5からDSM-5-TRへ—何が変わったのか

神経認知障害群—DSM-5からDSM-5-TRへの診断基準の変更点

著者: 松﨑朝樹1 新井哲明1

所属機関: 1筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学

ページ範囲:P.1434 - P.1438

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抄録
 2022年に精神疾患の診断・統計マニュアル第5版の本文改定版(DSM-5-TR)が発表された。DSM-5-TRはDSM-5が改訂されたものであり,その改訂内容は主に各疾患についての解説文章だが,診断基準もわずかに変更された。日本語への翻訳にあたり,用語も変更された。本稿では神経認知障害群(せん妄,認知症/軽度認知障害)におけるDSM-5からDSM-5-TRへの変更点について解説する。せん妄の診断基準では失見当識の表現が変更された。認知症/軽度認知障害の診断に付け加えられる行動・心理症状について記載する特定用語が細分化され,用語に変更があった。物質・医薬品誘発性認知症/軽度認知障害にアンフェタミン型物質およびコカインによる軽度認知障害が追加された。特定不能の病因による認知症/軽度認知障害の項目が新たに追加された。これらの変更点はいずれも,大きな変更ではなく,臨床や研究に混乱を招くことなく連続性をもって使用できるものであった。

参考文献

1)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed(DSM-5). American Psychiatric Publishing, Washington DC, 2013[日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳):DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014]
2)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed, Text Revision(DSM-5-TR). American Psychiatric Publishing, Washington DC, 2022[日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳),染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,他(訳):DSM-5-TR精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2023]
3)針間博彦:Psychosis—「精神病」から「精神症」へ.ICD-11「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ,精神経誌 123:294, 2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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