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特集 DSM-5からDSM-5-TRへ—何が変わったのか
神経認知障害群—DSM-5からDSM-5-TRへの診断基準の変更点
著者: 松﨑朝樹1 新井哲明1
所属機関: 1筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学
ページ範囲:P.1434 - P.1438
文献購入ページに移動2022年に精神疾患の診断・統計マニュアル第5版の本文改定版(DSM-5-TR)が発表された。DSM-5-TRはDSM-5が改訂されたものであり,その改訂内容は主に各疾患についての解説文章だが,診断基準もわずかに変更された。日本語への翻訳にあたり,用語も変更された。本稿では神経認知障害群(せん妄,認知症/軽度認知障害)におけるDSM-5からDSM-5-TRへの変更点について解説する。せん妄の診断基準では失見当識の表現が変更された。認知症/軽度認知障害の診断に付け加えられる行動・心理症状について記載する特定用語が細分化され,用語に変更があった。物質・医薬品誘発性認知症/軽度認知障害にアンフェタミン型物質およびコカインによる軽度認知障害が追加された。特定不能の病因による認知症/軽度認知障害の項目が新たに追加された。これらの変更点はいずれも,大きな変更ではなく,臨床や研究に混乱を招くことなく連続性をもって使用できるものであった。
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