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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻11号

2023年11月発行

文献概要

特集 精神疾患回復の時間経過を見通す

私の考える,大人の発達障害の「つまずき」と「回復」

著者: 青木省三12

所属機関: 1公益財団法人慈圭会 精神医学研究所 2公益財団法人慈圭会 慈圭病院

ページ範囲:P.1537 - P.1545

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抄録
 大人の発達障害の「つまずき」(適応障害や二次障害)とその「回復」について記した。経過は,持って生まれた発達特性に,心理社会的な負荷が加わり,特性と負荷が組み合わさって,その人独特の困った状態となり,反応性に精神症状が出現した,と考えると理解しやすい。短期的には,生活の回復と精神症状の消失とは連動していることが多く,現実の生活の困難に気づき支援することが大切となる。長期的には,反応性に起こった精神症状を,一回一回,短期間で終わらせるような支援が大切となる。生活の困難が続くと,それに反応するように精神症状も長期化・慢性化していくことがある。支援においては,生活相談を通して少しでも平和で安定した生活となることや,職人や趣味人というような生き方などが大切になると考えた。

参考文献

1)青木省三:精神科医という仕事—日常臨床の精神療法.金剛出版,2023
2)髙橋脩:発達障害児と家族への支援.日本評論社,2022
3)Lord C, Elsabbagh M, Baird G, et al:Autism spectrum disorder. Lancet 392:508-520, 2018
4)Iwasa M, Shimizu Y, Sasayama D, et al:Twenty-year longitudinal birth cohort study of individuals diagnosed with autism spectrum disorder before seven years of age. J Child Psychol Psychiatry 63:1563-1573, 2022
5)青木省三:こころの病を診るということ—私の伝えたい精神科診療の基本.医学書院,2017
6)青木省三:「趣味人」として生きる.そだちの科学 31:88-91, 2018
7)Kanner L:Autistic disturbances of affective contact. Nervous Child 2:217-250, 1943
8)Donald Triplett, ‘Case 1' in the Study of Autism, Dies at 89. The New York Times, 2023
9)青木省三:ぼくらの心に灯ともるとき.創元社,2022
10)中井久夫:精神科治療の覚書,新版.日本評論社,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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