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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻12号

2023年12月発行

文献概要

特集 精神科領域の専門資格—どうやって取得し,どのように臨床へ活かすか

精神科医が産業医資格を取得する意義

著者: 𠮷村玲児1

所属機関: 1産業医科大学精神医学

ページ範囲:P.1679 - P.1683

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抄録
 メンタルヘルス対策は,産業医活動の核心であり,この対応は容易ではない。産業医は従業員の心の健康を守る役割を果たし,50人以上の企業に設置が義務付けられている。特に大企業では専任の産業医が必要とされる。産業医の業務には,健康診断の実施と健康維持措置,作業環境の管理,作業の管理,ストレスチェック,健康管理と改善の提案,健康教育や相談,労働衛生業務,再発防止措置の業務などがある。産業医資格を取得する方法は,日本医師会の研修や産業医科大学の講座を受講することである。特に,産業医科大学の集中講座は短期間での資格取得を目指す人々にとって人気があり,東京や福岡で開催される。産業医取得のメリットとしては,①産業医資格を持つ精神科医には多くの雇用機会が開かれる,②企業のメンタルヘルス対策には精神科医の経験が大いに役立つ,③予防医学に明るく,疾患予防に貢献できる,④精神科医と産業医の連携は,労働者のメンタルヘルス保護に必要とされ,労働環境の改善に寄与する,などが考えられよう。産業医は従業員の健康を保護し,特にメンタルヘルスの対策にはその専門的な知識とスキルが不可欠である。資格を取得することで,より多くの機会と役割を果たすことができる。

参考文献

1)日本産業衛生学会関東産業医部会(編):産業医ガイド—基本管理業務からメンタルヘルスまで,第3版.日本医事新報社,2020
2)江口尚,真船浩介,日野亜弥子,他(編):すぐに役立つ職場のメンタルヘルスハンドブック—産業医・心理職・精神保健職から人事労務担当者・衛生管理者まで職場のメンタルヘルスにかかわるすべての人に.診断と治療社,2021
3)森晃爾,永田智久,小田上公法(編著):健康経営を科学する—実践を成果につなげるためのエビデンス.大修館書店,2023

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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