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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻2号

2023年02月発行

文献概要

特集 精神医療・精神医学の組織文化のパラダイムシフト

社会福祉法人で取り組んだ組織文化

著者: 近藤伸介12 田尾有樹子1

所属機関: 1社会福祉法人巣立ち会 2東京大学医学部附属病院精神神経科

ページ範囲:P.207 - P.213

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抄録
 社会福祉法人巣立ち会は,1992年の発足から一貫して「支援がないなら作り出す」という精神で利用者のニーズに応じたサービスを創出してきた。病院からは退院は無理と言われ,家族からは退院を拒まれて,地域に住むところを探しても見つからないという長期入院者に対して,まず住む場所を確保するところからスタートした。現在では87室のグループホームを運営し,これまでに330名以上の長期入院者が当法人の退院支援を受けて実際に地域へと退院した。その後,急増するうつ病患者への地域資源が不足していることから,うつ病専門の事業所を設立した。さらに,早期介入を目指した若者支援や,福祉サービスモデルを脱却したリカバリーカレッジの運営にも挑んでいる。こうした組織文化を支えているのは,精神障害があっても自立して地域で生活できる,という信念であり,支援を求めてくる人を断らないという基本姿勢である。

参考文献

1)社会福祉法人巣立ち会:巣立ち会の退院促進支援.平成18年度厚生労働省障害者保健福祉推進事業.平成18年度精神障害者退院促進並びに地域生活移行推進モデル事業報告書
2)田尾有樹子:精神医療における住居支援.精神医療 4:38-44, 2022
3)長門大介,田尾有樹子:うつ病専門復職支援事業「ルポゼ」の活動を通じて見えてきたもの.こころの臨床à la carte 29:533-537, 2010
4)社会福祉法人巣立ち会Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/@user-qu7lh4wt4k[2022年11月27日閲覧]
5)Kondo S, Kumakura Y, Kanehara A, et al:Premature deaths among individuals with severe mental illness after discharge from long-term hospitalisation in Japan:a naturalistic observation during a 24-year period. BJPsych Open 3:193-195, 2017
6)清野知樹,植田太郎,田尾有樹子:精神疾患がある人は平均寿命を望んでいるが生活習慣病の治療は不十分である—社会福祉法人での調査結果(会議録).精神経誌(総会特別号)S651, 2018
7)Perkins R, Meddings S, Williams S, et al:Recovery colleges 10 years On. Nottingham, ImROC, 2018(邦訳リカバリーカレッジの10年) https://sudachikai.eco.to/pia/en_recovery.html[2022年11月27日閲覧]

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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