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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻2号

2023年02月発行

文献概要

特集 精神医療・精神医学の組織文化のパラダイムシフト

和文学会機関誌のパラダイムシフト—学問の殿堂から学問の広場へ

著者: 大森哲郎1 細田眞司2

所属機関: 1社会医療法人あいざと会藍里病院あいざと精神医療研究所 2こころの診療所細田クリニック

ページ範囲:P.229 - P.236

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抄録
 英文論文が重視される時代となって,基礎医学系和文誌は原著掲載を取りやめ,臨床系和文機関誌も役割が狭まっている。精神医学・医療においては,日本語を媒介とする診療,人文科学系との接点,多職種や当事者・家族との連携などの観点から,和文論文の意義は他の臨床医学領域以上に大きい。それにもかかわらず,『精神神経学雑誌』の原著掲載数は激減してきた。もはや専門家による専門家のための学術性のみを志向する雑誌として存立するのは難しい。精神医学と精神科臨床に携わる幅広い関係者のための,学術的価値と臨床的価値を併せ持つ雑誌へと脱皮する必要がある。そのために『精神神経学雑誌』編集委員会では,投稿の門戸開放,電子ジャーナルの無料アクセス化など一連の改革に取り組んできた。その方向性を比喩的に表現すれば,「学問の殿堂」から「学問の広場」への変貌である。

参考文献

1)長岡正範:論文投稿に関する編集者からの提言—Jpn J Rehabil Medから.Jpn J Rehabil Med 49:172-176, 2012
2)神崎恒一:日本老年医学雑誌の改定にあたって.日老医誌 52:1, 2015
3)福島亮治:二重投稿とacceptable publication.日本外科系連合学会誌 41:885-886, 2016
4)細田眞司:精神神経学雑誌への投稿を—電子投稿システム導入にあたって.精神経誌 115:1025, 2013
5)大森哲郎:電子化時代の精神神経学雑誌.精神経誌 120:1, 2018
6)大森哲郎:和文論文のすすめ.精神経誌 121:1, 2019
7)夏苅郁子,夏苅直己,金原明子,他:「精神科担当医の診察態度」を患者・家族はどのように評価しているか—約6, 000人の調査結果とそれに基づく提言.精神経誌 120:868-886, 2018
8)高橋恵:精神保健指定医大量指定取り消し処分の不当性と闘って.精神経誌 124:357-358, 2022
9)大森哲郎:症例報告の執筆,投稿,改訂,受理,掲載.臨床精神医学 51:173-178, 2022
10)大森哲郎:症例報告における本人同意原則化の必要性—投稿規定改訂(2018年4月)に添えて.精神経誌 120:757-758, 2018
11)栗原千絵子,斎尾武郎:「バルサルタン事件」の倫理・規制・政策論的分析—被験者の保護と研究の公正性の確保に向けて.Rinsho Hyoka(Clinical Evaluation)41:799-815, 2014
12)International Committee of Medical Journal Editors(ICMJE):Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals Updated May 2022 https://www.icmje.org/icmje-recommendations.pdf[2022年11月閲覧]
13)日本医学会医学雑誌編集ガイドライン2022 https://jams.med.or.jp/guideline/jamje_2022.pdf[2022年11月閲覧]
14)大森哲郎:精神神経学雑誌の脱皮と衣替え.精神経誌 123:1, 2021
15)細田眞司:精神神経学雑誌の刷新・発展に向けて.精神経誌 122:183, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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