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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻2号

2023年02月発行

文献概要

特集 精神医療・精神医学の組織文化のパラダイムシフト

精神医学研究におけるパラダイムシフトの可能性

著者: 柳下祥1 金原明子2

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科構造生理学 2東京大学医学部附属病院精神科

ページ範囲:P.237 - P.242

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抄録
 医学研究は医療専門家がアウトカムを設定し,特にヒトの生物医学的特徴に着目して研究するのが一般的である。ところが最近,当事者の望む回復であるパーソナル・リカバリーを目指すアウトカムモデルや,当事者の研究への参加が注目を集めている。このような医療モデルの見直しや研究の推進体制の見直しは精神医学研究を新たな形で発展させる可能性がある。このような変化は臨床研究にとどまらず,脳の中に生物学的病態を見出すことを目指してきた基礎研究のパラダイムにまで影響を与え,新しい研究の発展を促す可能性がある。本稿では最近の研究パラダイムの見直しとなるこのような背景について紹介し,筆者らがかかわる実践の途中経過を紹介したい。

参考文献

1)Bonney S, Stickley T:Recovery and mental health:a review of the British literature. J Psychiatr Ment Health Nurs 15:140-153, 2008
2)Anthony WA:Recovery from mental illness:The guiding vision of the mental health service system in the 1990s. Psychosocial Rehabilitation Journal 16:11-23, 1993
3)Braun V, Clarke V:Novel insights into patients' life-worlds:the value of qualitative research. Lancet Psychiatry 6:720-721, 2019
4)Lloyd K, White J:Democratizing clinical research. Nature 474:277-278, 2011
5)Hickey G, Richards T, Sheehy J:Co-production from proposal to paper. Nature 562:29-31, 2018
6)日本医療研究開発機構:研究への患者・市民参画(PPI) https://www.amed.go.jp/ppi/[2022年11月23日閲覧]
7)科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS):我が国における研究費制度のあり方に関するアンケート調査〜現状,問題点,改善方策〜. https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2012/RR/CRDS-FY2012-RR-02.pdf[2022年11月23日閲覧]
8)22q-pedia https://22q-pedia.net/description/[2022年11月23日閲覧]

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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