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文献詳細

雑誌文献

精神医学65巻2号

2023年02月発行

特集 精神医療・精神医学の組織文化のパラダイムシフト

「疾患学会」のあり方のパラダイムシフト—日本統合失調症学会が挑戦する社会実験 オープンアクセス

著者: 福田正人1 村井俊哉2 笠井清登3

所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学 2京都大学大学院医学研究科精神医学 3東京大学大学院医学系研究科精神医学

ページ範囲:P.243 - P.252

文献概要

抄録
 学会名に疾患名を冠した「疾患学会」の1つとして,日本統合失調症学会は学会のあり方についてパラダイムシフトを試みている。「研究者が学問を発展させる学会」と「当事者や支援者に貢献できる学会」を両立できる学会として,研究者や研究成果の概念を問い直し,大会への参加や大会での発表や学会の運営において当事者や家族との共同創造を促し,学会の組織変革を目指すものである。そこには,従来型の学会のあり方との両立や学会財政の共同創造について,学会員の意見をどう汲み上げるかという課題がある。こうしたパラダイムシフトの取り組みは,疾患学会のあり方についての社会実験としての意味があり,本稿はその中間報告である。

参考文献

1)Fukuda M, the collaborative team for the co-productive guidance:A co-productive development of a practical guidance for patients-centered and life-oriented recovery of schizophrenia in Japan. Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci 269(Suppl 1):S74, 2019
2)Lloyd K, White J:Democratizing clinical research. Nature 474:277-278, 2011
3)Hickey G, Richards T, Sheehy J:Co-production from proposal to paper. Nature 562:29-31, 2018
4)福田正人,糸川昌成,村井俊哉,他(編):統合失調症.医学書院,2013
5)岡田久実子:統合失調症になってもだいじょうぶな社会を願って.福田正人,糸川昌成,村井俊哉,他(編),統合失調症,医学書院,pp 13-16, 2013
6)村井俊哉:統合失調症(岩波新書).岩波書店,2019
7)みんなねっと:みんなねっと精神科医療への提言:誰もが安心してかかりたいと思える精神科医療の実現に向けて,2011 https://seishinhoken.jp/[2022年11月30日閲覧]
8)島本禎子:家族が望む研究と治療の姿.日本生物学的精神医学会誌 27:143-145, 2016
9)福田正人:精神医学における研究成果の「体現者」(巻頭言).日本生物学的精神医学会誌 27:59, 2016
10)福田正人:「専門家」がようやく学んだこと.精神療法 39:141-144, 2013a
11)浦河べてるの家:べてるの家の「当事者研究」.医学書院,2005
12)熊谷晋一郎:当事者研究.岩波書店,2020
13)笠井清登:第16回日本統合失調症学会—学会の共同創造に向けた小実験.精神科臨床Legato 8:136-137, 2022
14)福田正人:統合失調症の基礎知識—診断と治療についての説明用資料.福田正人,糸川昌成,村井俊哉,他(編):統合失調症,医学書院,pp 25-36, 2013b
15)笠井清登,村井俊哉,福田正人(編),統合失調症 あなたはどう答えますか?.Progress in Medicine 41:505-563, 2021
16)日本統合失調症学会パブリックリレーション委員会:統合失調症の最新情報.月刊みんなねっと,2022
17)島本禎子:精神障害の子どもの親の立場から.笠井清登,岡ノ谷一夫,能智正博,他(編),人生行動科学としての思春期学.東京大学出版会,pp 273-285, 2020a
18)島本禎子:支援の原点.笠井清登(編),講座 精神疾患の臨床2 統合失調症.中山書店,pp 10-14, 2020b
19)岡田久実子:統合失調症になってもだいじょうぶな社会を願って.笠井清登(編),講座 精神疾患の臨床2 統合失調症.中山書店,pp 15-19, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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