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特集 災害精神医学—自然災害,人為災害,感染症パンデミックとこころのケア
災害精神医学総論—災害精神医学の概念,歴史,今後の課題
著者: 高橋晶123
所属機関: 1筑波大学医学医療系災害・地域精神医学 2茨城県立こころの医療センター 3筑波メディカルセンター病院精神科
ページ範囲:P.269 - P.278
文献購入ページに移動日本は多くの災害を経験して,乗り越えてきた国である。自然災害,人為災害,放射線災害,感染症災害など種類も多い。災害時の精神的な支援,対応,精神医療保健福祉は粛々と行われてきている。災害派遣精神医療チーム(DPAT)ができて,よりシステマティックな支援が進んできている。一方,課題もまだ多い。被災者が多く,ポピュレーションアプローチと,ハイリスク者へのアプローチが必要である。これに関するパブリックメンタルヘルスの視点と精神症状,疾患の発症とその治療の確立が望まれる。未病,予防の観点から,精神疾患の発症を減らすための取り組みも必要である。またサイコロジカル・ファーストエイド(PFA)などの,災害など,困難なことに巻き込まれた人々を心理的に保護し,これ以上の心理的被害を防ぎ,さまざまな援助のためのコミュニケーションを促進することを目的とした人道的な介入手法の開発,啓発も必要である。また災害精神医学研究の発展により,より効率的な災害時の精神支援技法が向上してきている。
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