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文献概要
特集 災害精神医学—自然災害,人為災害,感染症パンデミックとこころのケア
熊本地震の被災者メンタルヘルスケア
著者: 矢田部裕介1
所属機関: 1医療法人信愛会玉名病院
ページ範囲:P.341 - P.346
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熊本地震では,発災直後から災害派遣精神医療チーム(DPAT)が活動し,被災した精神科医療機関の入院患者転院搬送支援や避難所での精神保健医療支援に従事した。その後,被災者が避難所から仮設住宅に移行する期間にはローカルDPATが支援を継続した。さらに,発災から半年後には熊本こころのケアセンターが設置され,アウトリーチや健康調査,地域支援者向け研修などを通して被災者のメンタルヘルス課題への対応を中長期的に行った。DPATや心のケアセンター事業は過去の災害における課題をもとに発展してきた支援システムであり,熊本地震ではその有用性が確認された。進歩した支援にマッチした受援体制の構築や多様化した支援システム同士の連携が今後の課題である。
熊本地震では,発災直後から災害派遣精神医療チーム(DPAT)が活動し,被災した精神科医療機関の入院患者転院搬送支援や避難所での精神保健医療支援に従事した。その後,被災者が避難所から仮設住宅に移行する期間にはローカルDPATが支援を継続した。さらに,発災から半年後には熊本こころのケアセンターが設置され,アウトリーチや健康調査,地域支援者向け研修などを通して被災者のメンタルヘルス課題への対応を中長期的に行った。DPATや心のケアセンター事業は過去の災害における課題をもとに発展してきた支援システムであり,熊本地震ではその有用性が確認された。進歩した支援にマッチした受援体制の構築や多様化した支援システム同士の連携が今後の課題である。
参考文献
1)荒木憲一:雲仙・普賢岳噴火災害による避難住民に対する精神保健活動—精神科医による危機介入.精神経誌 97:430-444, 1995
2)阪神淡路大震災対策特別委員会:阪神・淡路大震災における支援活動資料集—こころのケアをめざして—.精神経誌 97(号外):1-454, 1995
3)中島聡美,金吉晴,福島昇,他:新潟県中越地震における精神保健医療チームの活動の実態—こころのケアチームのアンケート調査から—.トラウマティック・ストレス 4:135-144, 2006
4)金吉晴,秋山剛,大沼麻実:東日本大震災後の精神医療初期対応について.精神保健研究 25:15-20, 2012
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